国際農研発第2号ベンチャー「ドリームバイオマスソリューションズ」」設立2022年11月10日
国際農研発ベンチャー企業「JIRCASドリームバイオマスソリューションズ」が10月4日に設立。原料マルチ化プロセスを用いて、未利用のオイルパームバイオマスを原料とする燃料と、資材製造を行うための事業化コンサルティングとプラントの設計・建設支援・運用支援、製品販売事業を展開する。
JIRCASドリームバイオマスソリューションズの小杉昭彦社長(支援するサラワク州のペレット工場で)
国際農研は、2021年9月8日制定された「ベンチャー企業等の認定及び援助等に関する規程」に基づき、職員によるベンチャー企業の設立を促進するとともに、国際農研が開発した研究成果の普及や研究活動の活性化に貢献するベンチャー企業に対し、研究施設や設備の有償使用、特許の実施許諾における優遇措置等の支援を行う制度を設けている。
このほど、同制度を利用した第2例目となる国際農研発ベンチャー『株式会社JIRCASドリームバイオマスソリューションズ』が認定され、10月4日に法人登記が完了した。JIRCASドリームバイオマスソリューションズは、国際農研と国内外の民間企業および大学等で構成された共同研究グループが開発した原料マルチ化プロセスを用いて、未利用のオイルパームバイオマスを原料とする燃料および資材製造を行うための事業化コンサルティングとプラントの設計・建設支援・運用支援、製品販売事業を展開する。
オイルパームは、世界で最も生産・消費されている重要な油脂で、食用や工業用に広く利用されている。国際農研は長年にわたり、オイルパーム油製造に伴い大量に廃棄される農作物残渣の利活用技術や高付加価値化技術に関する研究を行ってきた。オイルパーム農園を持続的に利用するには、農園内に放置・廃棄されるオイルパーム古木(OPT)を再資源化し、農園内の環境負荷を低減しながら農地の再利用を促す方策が必要。国際農研を中心とする共同研究グループは、OPTのアップサイクルを図るため、良質でカーボンニュートラルな燃料ペレットや資材ペレットの製造技術、OPTの樹液や廃液から糖分やエネルギーを回収する技術などを開発してきた。
原料マルチ化プロセスで製造したオイルパーム枝葉(OPF)からのペレット(マレーシア)
さらに、OPTの枝葉(OPF)やヤシ殻空果房(EFB)など、繊維が長く利用が困難だったバイオマスについても爆砕前処理を施すことで、OPT用に開発したペレットなどの製造システムが利用可能となる「原料マルチ化プロセス」の開発に成功。「原料マルチ化プロセス」は、廃液からバイオガスを回収し、発電に利用することで、外部からエネルギーを供給することなく、液肥製造や使用した洗浄水の再生も可能にするゼロエミッション型プロセスとして設計されており、製造される燃料および資材ペレットは、カーボンニュートラルな製品となる。
通常、異なる特徴を持つバイオマスに対して、共通の処理プロセスを適用することは難しく、バイオマス原料ごとに専用の処理プロセスを導入することが一般的だったが、専用のシステムでは、原料となるバイオマスの調達量や調達コストの変動によって操業が不安定となる懸念がある。
一方、「原料マルチ化プロセス」は、多種多様なバイオマス原料に同じ処理プロセスが適用できるため、均質なペレットを安定的に製造できるとともに、工場操業率を常に高く維持することで、製造コストと製造量の安定化を図ることができる。多様なオイルパーム産業由来の廃棄物を利用できることから、オイルパーム搾油工場から数kmの狭い範囲の農園から必要な原料が調達可能。また、搾油工場あたり年間で最大10万トンの燃料ペレットが製造可能と想定できることから、バイオマス事業収益性の大幅な向上が期待できる。
国際農研では現在、「SATREPSパームトランクプロジェクト」を実施しており、社会実装の一環として、マレーシア国サラワク州で、「原料マルチ化プロセス」を導入した工場建設を支援。これまでに開発した研究成果を活用したオイルパームバイオマスの本格的な有効利用が、間もなく開始される。
JIRCASドリームバイオマスソリューションズは、主にオイルパーム油産業由来の未利用バイオマスを原料として、再生可能エネルギーや再生可能資源に変換・利用するサーキュラーエコノミー産業の創出・育成・拡大をリードすることを目指して設立。研究開発成果の社会実装を推進する国際農研発のベンチャーとして、国内外の農林水産業の持続可能性を高め、環境と調和した持続可能なオイルパーム油産業の形成により、みどりの食料システム戦略にも繋がる環境負荷を軽減した油脂の調達を可能とし、地球環境の保全に貢献する。
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