『水といきる地域の力―琵琶湖・太湖の比較から』発刊 琵琶湖博物館2022年11月17日
琵琶湖地域の特性のひとつである「地域の力」に視野を定めた琵琶湖博物館の研究成果として『水と生きる地域の力-琵琶湖・太湖の比較から』(サンライズ出版・3080円、税込)が出版された。
琵琶湖博物館は、人と湖の関係性について社会学的に研究している。同書は、日本の琵琶湖辺と中国の太湖周辺において、水辺のエコトーンを活用し、いかに稲作、漁撈、養魚、養蚕などの生業が複合的かつ合理的に実践されてきたかを紹介。地球規模の環境問題と気候変動が拡大するいま、改めてコミュニティ主義の有効性を問う。
著者は、元琵琶湖博物館総括学芸員で前滋賀県知事の嘉田由紀子氏と、琵琶湖博物館専門学芸員の楊平氏。嘉田氏は、1980年代後半の滋賀県立琵琶湖博物館準備室に在籍していた頃から琵琶湖周辺にある集落の水利用に関する調査に取り組み、その成果を開館した琵琶湖博物館の展示に活かすとともに、中国の太湖周辺の水郷地帯のフィールドワークを行なっていた。一方、2007年に琵琶湖博物館の学芸員に採用された楊平氏は、「生水の郷」として知られる高島市新旭町針江の暮らしに魅せられ、生活史の聞き取り調査を進めながら、稲作と養魚などを組み合わせた循環型農業を営む中国の太湖周辺の研究にも取り組んだ。
第Ⅰ〜Ⅲ部では、カバタや水辺遊びを通して幼少期から水と親しんできた針江地区の暮らし、琵琶湖に面した水陸移行帯における漁撈と農業の実際、針江の生活を支えるさまざまな集団を分析。第Ⅳ部では中国の太湖周辺にみられる複合的生業と2000年代以降の近代化にみられる琵琶湖周辺との共通性などを検討した。
また、終章では琵琶湖と水田の結びつきを取り戻す滋賀県の「魚のゆりかご水田」政策や、7月に世界農業遺産に認定された「琵琶湖システム」にも言及。長い歴史の中で培われてきた水辺の暮らしには、"現在の気候変動や環境破壊に対抗しうる力があるのではないか"と問いかけている。
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