大阪・泉州地域で初めて確認の「タマネギえそ条斑病」 来年の作付けなどへ農家に注意呼びかけ2022年5月26日
大阪府の泉州地域で府内で初めて発生が確認された「タマネギえそ条斑病」。「日本のたまねぎ栽培の発祥の地」ともいわれる同地域の「泉州たまねぎ」は人気が高く、今年は価格高騰の影響で昨年の約3倍の高値で取り引きされたという。収穫作業はピークを過ぎ、今のところ出荷への目立った影響はないが、来年は作付けが増える見通しで、大阪府や地元JAは「来年の発生を防ぐために発生源となる残さなどを適切に処分してほしい」と農家に注意を促している。
たまねぎえそ条斑病の拡大部分(写真提供:大阪府病害虫防除グループ)
巡回中の職員がほ場で発見 収穫への影響は確認されず
大阪府環境農林水産部によると、5月10日、作物への病害虫被害を監視する職員が泉州地域のほ場を巡回中、タマネギえそ条斑病によるとみられる葉の枯死を発見した。府立環境農林水産総合研究所で検定した結果、同病の感染が確認され、19日、農家に注意を呼び掛ける特殊報を発表した。大阪府内での発見は初めてで、その後、大阪府中部や南河内地域でも似た症状の葉が見つかっているが、今のところ収穫に影響が出るほどの被害は確認されていないという。
ネギアザミウマが媒介 症状重いと減収のおそれも
農水省植物防疫課や大阪府によると、タマネギえそ条斑病は平成8年に千葉県のアルストロメリアで初確認されて以降、すでに全国30以上の都府県でネギやトルコギキョウなどさまざまな作物で確認されている。大阪府周辺でも京都や兵庫県、和歌山県などで確認されていた。

ネギアザミウマ(写真提供:大阪府病害虫防除グループ)
同病のウイルスは昆虫のネギアザミウマが感染した植物を吸うことで媒介され、タマネギの場合、感染すると葉が枯死して肥大が悪くなり、減収につながるおそれもある。ウイルスへの有効な薬剤はないため、ネギアザミウマの早期発見・早期防除に努めることが重要だという。一般的に春に暖かい気候が続くとネギアザミウマが発生しやすくなるという。
「泉州たまねぎ」は高値で取り引き 病気による影響は確認されず
JA大阪泉州によると、泉州地域のタマネギ栽培は明治前期から始まり、「日本のタマネギ栽培発祥の地」とも言われている。「泉州たまねぎ」の年間出荷量は約1300tで、今年は全国的なタマネギ価格の高騰もあって、昨年は市場への売り渡し価格(税抜き)がキロ当たり100円未満だったのが、今年は約280円と約3倍に値上がりしたという。
今年の収穫はすでにピークを過ぎており、特に病気の影響はみられなかったという。同JA販売課は「去年まで価格が安すぎたので価格が上ったことで生産農家は喜んでいます。来年は作付けが増えると思います」と話す。
残さが再び発生源になる恐れ 農家に改めて注意呼びかけ
大阪府によると、タマネギの病気に関しては、農家は毎年のように発生する「タマネギべと病」については比較的詳しいが、タマネギえそ条斑病についてはほとんど知識がないとみられるため、今後、改めて注意を呼びかけることにしている。ネギアザミウマは越冬するため、タマネギやネギの残さをほ場に残すと、来年の発生源になる恐れがある。大阪府やJAは「特にほ場内の残さや雑草を適切に処分するなど注意してほしい」と話している。
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