タマネギえそ条斑病が泉州地域で発生 大阪府で初めて確認 大阪府2022年5月23日
大阪府環境農林水産部農政室は、タマネギえそ条斑病(病原ウイルス アイリスイエロースポットウイルス Iris yellow spot virus IYSV)の発生を泉州地域で確認。これを受け、5月19日に病害虫発生予察特殊報第1号を発令した。

5月に泉州地域のタマネギ栽培ほ場で、葉に条斑状の黄化が生じ、一部の葉が萎凋・枯死する症状が確認された。大阪府立環境農林水産総合研究所で、RIPA法(イムノクロマト)による検定を行った結果、IYSVによるタマネギえそ条斑病であることが確認された。
ネギアザミウマ(写真提供:大阪府病害虫防除グループ)
同ウイルス(IYSV)による病害は、1996年に千葉県のアルストロメリアで初確認されて以降、全国30以上の都府県のタマネギ、ネギ、トルコギキョウ、テッポウユリなど様々な作物で発生が確認。近隣では、和歌山県のトルコギキョウ、京都府のネギ、トルコギキョウ、兵庫県のネギ、タマネギ、トルコギキョウ、テッポウユリ、滋賀県のネギ、トルコギキョウでの発生が過去に報告されている。大阪府で、同ウイルスによる病害が確認されたのは今回が初めて。
たまねぎえそ条斑病の拡大部分(写真提供:大阪府病害虫防除グループ)
被害株の病徴は、はじめ葉身に紡錘型のえそ条斑を呈し、病勢が進行すると病斑が癒合拡大し、葉が萎凋・枯死することがある。発病程度が激しくなると、鱗茎の肥大が悪くなり、減収する。
17科40種以上の植物でIYSVの感染が確認されており、ネギ、タマネギ、ニラ等のユリ科野菜や、トルコギキョウ、アルストロメリア等の花き類で被害が大きい。同ウイルスはネギアザミウマが感染植物を吸汁することによって媒介され、一度ウイルスを獲得したネギアザミウマは死ぬまでウイルスを伝搬する。また、同ウイルスは種子伝染や土壌伝染はせず、管理作業による汁液伝染の可能性も低いとされている。
たまねぎえそ条斑病の病斑が拡大した発病株(写真提供:大阪府病害虫防除グループ)
大阪府環境農林水産部農政室では次のとおり防除対策を呼びかけている。
〇このウイルスに対する有効な薬剤はないため、媒介昆虫であるネギアザミウマの早期発見・早期防除に努め、本虫の発生初期に薬剤散布を実施する(表)。なお、薬剤防除の際は、薬剤抵抗性害虫の出現防止のため、同一系統の農薬の連用を避け、ローテーション防除を実施する。
〇伝染源や本虫の増殖源となるほ場内および周辺の宿主植物や雑草を除去する。また、発病株の残さも周辺の野外に放置すると、伝染源となるため適切に処分する。
〇施設栽培では、施設開口部に防虫ネット(0.4ミリ目合以下の白色または0.8ミリ合以下の赤色ネット等)を設置するとともに、施設周囲に光反射シートを敷設し、本虫の施設内への侵入を防ぐ。
〇ネギアザミウマが寄生する作物(タマネギ、ネギ、ニンニクなど)の残渣をほ場に放置すると、本虫の発生源となるので、適切に処分する。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(173)食料・農業・農村基本計画(15)目標等の設定の考え方2025年12月20日 -
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(90)クロロニトリル【防除学習帖】第329回2025年12月20日 -
農薬の正しい使い方(63)除草剤の生理的選択性【今さら聞けない営農情報】第329回2025年12月20日 -
スーパーの米価 前週から10円上がり5kg4331円に 2週ぶりに価格上昇2025年12月19日 -
ナガエツルノゲイトウ防除、ドローンで鳥獣害対策 2025年農業技術10大ニュース(トピック1~5) 農水省2025年12月19日 -
ぶどう新品種「サニーハート」、海水から肥料原料を確保 2025年農業技術10大ニュース(トピック6~10) 農水省2025年12月19日 -
埼玉県幸手市とJA埼玉みずほ、JA全農が地域農業振興で協定締結2025年12月19日 -
国内最大級の園芸施設を設置 埼玉・幸手市で新規就農研修 全農2025年12月19日 -
【浜矩子が斬る! 日本経済】「経済関係に戦略性を持ち込むことなかれ」2025年12月19日 -
【農協時論】感性豊かに―知識プラス知恵 農的生活復権を 大日本報徳社社長 鷲山恭彦氏2025年12月19日 -
(466)なぜ多くのローカル・フードはローカリティ止まりなのか?【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年12月19日 -
福岡県産ブランドキウイフルーツ「博多甘熟娘」フェア 19日から開催 JA全農2025年12月19日 -
α世代の半数以上が農業を体験 農業は「社会の役に立つ」 JA共済連が調査結果公表2025年12月19日 -
「農・食の魅力を伝える」JAインスタコンテスト グランプリは、JAなごやとJA帯広大正2025年12月19日 -
農薬出荷数量は0.6%増、農薬出荷金額は5.5%増 2025年農薬年度出荷実績 クロップライフジャパン2025年12月19日 -
国内最多収品種「北陸193号」の収量性をさらに高めた次世代イネ系統を開発 国際農研2025年12月19日 -
酪農副産物の新たな可能性を探る「蒜山地域酪農拠点再構築コンソーシアム」設立2025年12月19日 -
有機農業セミナー第3弾「いま注目の菌根菌とその仲間たち」開催 農文協2025年12月19日 -
東京の多彩な食の魅力発信 東京都公式サイト「GO TOKYO Gourmet」公開2025年12月19日 -
岩手県滝沢市に「マルチハイブリッドシステム」世界で初めて導入 やまびこ2025年12月19日


































