【特殊報】かんしょにサツマイモ基腐病 県内で初めて確認 新潟県2024年2月5日
新潟県病害虫防除所は、かんしょ(サツマイモ)にサツマイモ基腐病の発生を県内で初めて確認。これを受けて、2月2日に令和5年度病害虫発生予察特殊報第2号を発令した。
図1:塊根のなり首側の腐敗(写真提供:新潟県農業総合研究所園芸研究センター)
新潟県病害虫防除所によると、2023年10月に新潟県内のほ場で収穫されたかんしょ(品種:パープルスイートロード)に、なり首側に腐敗症状と茎に微小な黒粒(柄子殻)が確認された(図1、2)。新潟県農業総合研究所園芸研究センターは、LAMP法によりサツマイモ基腐病の簡易診断を実施したところ陽性反応を確認。その後、農林水産省横浜植物防疫所において、分離した病原菌の形態の確認およびPCR法による検定を行った結果、サツマイモ基腐病であると判明した。
同病害は、2018年に沖縄県において日本国内で初めて確認され2023年12月現在、33都道府県で発生が確認されている。
図2:茎上の微小な黒粒(写真提供:新潟県農業総合研究所園芸研究センター)
サツマイモ基腐病の病徴は、苗床および本ぽでは、葉の赤変や黄変が見られ、株の生育不良や萎凋、枯死が起こり、これらの株では茎が地際部から黒変し、黒変した部位には微小な黒粒(柄子殻)が多数形成される。茎葉が繁茂する時期はほ場では株の異常に気付きにくい。収穫前に茎葉の生育が衰えて急激に枯れたように見えることが多い。
塊根では、なり首側から腐敗。見た目健全な塊根でも、貯蔵中などに腐敗することがある。
同病の病原菌は糸状菌で、宿主植物はヒルガオ科(主にかんしょ)のみで、罹病した苗や塊根が伝染源となる。病変部には柄子殻が多数形成され、柄子殻から漏出した多量の胞子は、風雨やほ場の湛水により周辺株に感染し、発生が拡大する。同病が発生したほ場では、病原菌が罹病残渣中に残り、次年の伝染源となる。
同防除所では次のとおり防除対策を呼びかけている。
〇同病の未発生ほ場で生産された健全種苗を使用する。
〇未消毒の苗を使用する場合は、適用のある薬剤で消毒する(表)。
〇同病は排水不良な場所でまん延しやすいため、ほ場の排水対策を行う。
〇発病株は早期に除去し、ほ場外に持ち出して適切に処分する。発病株の除去後には、周辺株への感染予防のため、本病に登録のある薬剤を散布する(表)。
〇収穫後は、ほ場から可能な限り、かんしょの残さ(茎葉を含む)を速やかに持ち出し、適切に処分する。
〇同病が発生したほ場で使った農具、長靴などを別ほ場で使う際は、十分に消毒や洗浄を行う。
〇同病が多発した場合は、かんしょ以外を作付けする輪作を2年以上行うか、かんしょ以外の品目への転作を検討する。
〇その他、同病の生態や防除対策等については、農研機構生研支援センターイノベーション創出強化研究推進事業(01020C)令和4年度版マニュアル「サツマイモ基腐病の発生生態と防除対策」を参照。
表:サツマイモ基腐病に登録のある薬剤
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