特定外来生物ナガエツルノゲイトウ 水稲移植栽培での除草剤による防除技術を開発2025年2月6日
農研機構、千葉県農林総合研究センターと神奈川県農業技術センターは、特定外来生物に指定され、水稲栽培で問題となる難防除雑草ナガエツルノゲイトウについて、水稲移植栽培期間中の除草剤体系処理による3通りの防除技術を開発した。この技術を2年間継続すると、ナガエツルノゲイトウがまん延した水田でも、栄養繁殖し、越冬する地下部まで防除できることから、ナガエツルノゲイトウによる雑草害軽減とまん延防止が期待される。
図:ナガエツルノゲイトウの外観(左)と水田内で水稲と競って草丈を伸ばす個体(右)
※白丸はナガエツルノゲイトウを示す
ナガエツルノゲイトウは特定外来生物に指定されている多年生雑草で、河川や水路、水田などに侵入・定着する。国内では1989年に初めて見つかり、2024年12月現在で東北以南の26都府県で分布が確認されている。
ナガエツルノゲイトウは節を含む茎や根からの栄養繁殖によって増殖、まん延し、水田に侵入すると競合による水稲の減収や収穫作業の阻害を引き起こす(図)。さらに、代かき後の落水時などに再生能力を持つ節を含む茎や根の断片が水路に流れることで、周囲に拡散する懸念がある。
ナガエツルノゲイトウは、水中や暖地では葉や地上部の茎等も枯れずに越冬することがあるが、霜が降りる地域では、通常12月以降に地上部が枯死し、主に地下茎や根の状態で越冬。侵入した水田での早期防除と分布拡大防止対策が求められる一方、水田におけるナガエツルノゲイトウの有効な防除技術はこれまで開発されていなかった。
今回、農研機構、千葉県農林総合研究センター、神奈川県農業技術センターは、ナガエツルノゲイトウに有効な水稲用除草剤とその処理時期を明らかにし、有効除草剤を組み合わせた体系処理により同種を防除する技術を開発。具体的には、水稲移植後にピラクロニルを含む除草剤を処理し、ナガエツルノゲイトウ再生始期~草丈5cm(水稲移植約20日後)または生育期(ナガエツルノゲイトウ草丈35cm以下、水稲移植約40日後)の時期にフロルピラウキシフェンベンジルを含む除草剤を処理することで、水田に発生するナガエツルノゲイトウが防除できる。
同技術では、生産者が管理する水田で水稲栽培期間中、手取り除草などをすることなく、ナガエツルノゲイトウの地上部の生育を慣行と比べて10%以下に抑制できる。さらに、有効除草剤による体系処理を2年間継続すると、既にまん延している水田でも栄養繁殖し、かつ越冬する地下部まで防除が可能。
同技術により、栄養繁殖する断片を生じさせずにナガエツルノゲイトウを防除できることから、水田での雑草害軽減と分布拡大防止が期待される。
重要な記事
最新の記事
-
始まった「老人ホーム」の暮らし【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第333回2025年3月20日
-
米の価格 過去最高更新 60kg2万6485円 茨城産あきたこまち4万円超2025年3月19日
-
政府備蓄米 第2回入札3月26日から実施 農水省2025年3月19日
-
「国賊」と「下剋上」【小松泰信・地方の眼力】2025年3月19日
-
神奈川県横浜市の歴史的風致維持向上計画を認定 農水省など2025年3月19日
-
高山市、国見町、奈良市の歴史的風致維持向上計画(第2期、第3期)を認定 農水省など2025年3月19日
-
GI取得「高山きゅうり」など農畜産物・加工品7産品 農水省2025年3月19日
-
JAグループ宮城ICT搭載農機実演研修会を開催 JA全農みやぎ2025年3月19日
-
有機質肥料「エコべジP721」発売 JA全農岐阜がJAぎふ・片倉コープアグリと共同で商品化2025年3月19日
-
サキホコレで咲き誇れ!~「ハレの日」企画 イラストレーター「凪」さんデザイン「サキホコレ」米袋数量限定販売 JA全農あきた2025年3月19日
-
「新潟ハーフマラソン2025」開催!参加賞としてニッポンエールグミを提供 JA全農にいがた2025年3月19日
-
「にいがた酒の陣2025」で新潟米をPR JA全農にいがた2025年3月19日
-
栃木県産「とちあいか」果汁使用「ストロベリーホワイトモカ」新発売 JA全農2025年3月19日
-
廃棄野菜を動物園の餌に 農林中金の紹介で九州西濃運輸が参画 長崎バイオパークとJA島原雲仙2025年3月19日
-
農福連携がテーマの直売所「ベジポケット」4月1日にオープン JA横浜2025年3月19日
-
SEADS(シーズ)令和6年度修了式 JA鶴岡2025年3月19日
-
地元の麦でまえばしうどん 麦豚カレーはスパイシーで味わい深く JA前橋市2025年3月19日
-
管内の恵みをジャムに いちごとうめ JA水戸2025年3月19日
-
コシヒカリの魅力、磨き上げ 7つの基準に生産者の誇り JA福島さくら2025年3月19日
-
【次期酪肉近本文案】酪農拡大路線を転換 生乳目標732万トン据え置き2025年3月19日