AIによるモモ樹の水ストレス画像診断技術を開発 適切なかん水判断を可能に 農研機構2025年3月21日
農研機構は、深層学習を利用したAIによりモモ樹の水ストレス状態を画像診断する方法を開発した。同技術をかん水支援以外の栽培管理にも発展させることで、果樹栽培の経験が少ない人でもデータに基づいて適切な栽培管理ができることが期待される。
図1:モモ樹の撮影方法
農業における担い手の減少は深刻で、今後、担い手を確保するためには、新規参入者が入りやすい環境を整えて担い手や労働力を確保することが重要となる。非熟練者でも熟練者のような栽培管理を可能にするには、AIやIoTの利用等の革新的なスマート農業技術の利用が有効となる。そこで近年発展が著しい深層学習による画像認識技術を活用した果樹の樹体情報の画像解析手法により樹の水ストレスを推定する技術を開発した。
モモでは、水ストレスは果実の大きさや糖度に影響し、品質の良いモモを生産するには、適切な水管理が必要。これまでは天候や樹の生育に基づいて経験的にかん水が行われていたが、樹の水分状態(水ポテンシャル)が分かれば、水ストレスを受け始める直前(枝の水ポテンシャル値で-1.4MPa等)でかん水が実施できるなど、より適切なかん水が可能となる。樹の水ストレスの測定には専用の高価な機器と葉を切り取って計測するなどの労力を要するが、スマートフォンなどで撮影した画像から診断できれば測定の労力や機械のコストを削減できる。
図2:検証データにおける枝の水ポテンシャルの実測値と予測値との関係(赤色が水ストレスあり)
そこで農研機構は、モモの樹をスマートフォンで撮影し、深層学習により画像から水ストレス程度を推定する技術を開発した。同技術では、動画を用いることで立体的で体積の大きな果樹の画像診断に成功。同技術を用いることで、これまで難しかった樹の水分状態に基づくかん水により、樹生育を促進し、果実品質を向上させるような、適切なかん水管理が非熟練者でも可能となることが期待される。
また、同技術は、今後水ストレス以外にも樹生育や果実熟度など様々な画像診断に応用が可能。将来的にロボットによる自動診断へも発展できると考えられ、今後は診断項目を広げることで、経験の少ない人でもデータに基づいて適切な栽培管理ができるようになることが期待される。
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