スーパー作物「キヌア」塩排出機構の一端を解明 塩害に強い作物の創出に向けた道を切り拓く 国際農研2025年6月26日
国際農研は、名古屋大学、理化学研究所、京都大学と共同で、長年謎とされていた高い耐塩性をもつスーパー作物「キヌア」の塩排出機構の一端を明らかにした。
南米アンデス原産のキヌア
キヌアは優れた栄養バランスをもつ一方、過酷な環境でも栽培できることから、気候変動による劣悪な環境において貴重な食料源となることが期待される。
国際連合食糧農業機関(FAO)は、2013年を「国際キヌア年」に定め、キヌアが世界の食料・栄養問題の解決に貢献し得る重要な作物であることを広く発信してきた。さらに、南米アンデス原産のキヌアは、栄養バランスに優れているため、米国航空宇宙局(NASA)が宇宙飛行士の食料として注目してきたほか、近年はスーパーフードとして世界的な人気が高まっている。
これまで、研究グループはキヌアがなぜ過酷な環境でも生育できるのか、その耐塩性メカニズムの解明を目指して研究を進めてきた。同研究では、キヌアの幼植物が、多くのほかの植物が枯死してしまう海水レベルの濃度(600mM)の塩化ナトリウム(NaCl)存在下においても、阻害を受けることなく生育できることを示した。また、地上部への塩の取り込みが、その系統の栽培地域によって異なる傾向があることを示した。
また、南米ボリビアのウユニ塩湖周辺の高濃度塩分土壌地域で栽培されている南部高地系統は、そのほかの地域で栽培されている系統に比べて地上部への塩の取り込みが少ないことが明らかになり、地上部に塩を取り込みにくい仕組みを獲得してきた可能性が示唆された。
さらに同研究では、3つのナトリウム輸送体が実際にキヌアの塩の排出に機能していることを示した。この成果により、キヌアのもつ優れた耐塩性メカニズムを活用して、塩害に負けない作物を創出する道が拓かれた。今後、同成果は、世界の食料安全保障や栄養改善、SDGs目標2「飢餓をゼロに」の達成に貢献することが期待される。
同研究成果は6月18日、国際科学専門誌『Frontiers in Plant Science』オンライン版に掲載された。
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