窒素値下げ、りん酸・加里は値上げ2015年6月1日
27肥料年度秋肥価格決定
JA全農は、平成27肥料年度秋肥の価格を決めた。
主要品目の価格変動率は表の通りだが、窒素質肥料は値下げ、りん酸質肥料と加里質肥料は値上げとなっている。また、複合肥料は、多くの銘柄で、りん酸・加里の値上がりが窒素の値下がりを上回るため値上がりとなっているが、「製造経費を引下げ、値上げ幅を抑制した」と全農では説明している。なお、複合肥料では、製品の成分構成によって値上げ・値下げが混在するが、硫酸加里入や、相場が上昇している動物質有機原料入り銘柄は、値上げ幅が大きくなる。
今回の価格交渉の特徴について、全農では次のように分析している。
○原油関係
原油市況は、前期交渉時には100ドル前後の高値で推移していたが、いったん50ドルを割り込んだ後、現在は60ドル前後で推移している。海上運賃も燃料油値下がりに加えて、船舶需要が緩和し値下がりしている。製造諸経費は、重油、ナフサ価格が下落しており、肥料メーカー各社に、この値下がり要因を最大限価格に反映することを求め、値下げで決着した。
○海外原料
尿素の国際市況は下落しており、大幅な値下げで見通した。りん安の国際市況は値下がりで見通し、海上運賃の値下がりも織り込んだ。加里の国際市況は上昇しているが、海上運賃の値下がりを見込み据え置きで見通した。
○外国為替
1ドル100?105円でみていたが、急激な円安が進行し120円前後での推移と予定より2割程度の円安となっている。海外原料価格は、国際市況と海上運賃の見通しに実勢為替レートを乗じて決定。
そのため、円安の影響で海外原料が値上げとなった。
こうした現状から、全農では今後の対応として、為替の影響の少ない国内地域資源(鶏糞燃焼灰、堆肥など)の肥料原料としての活用。全農が出資する中国・瓮福紫金のリン安の年間を通しての計画的輸入。インドから輸入しているひまし油の購入先多元化と取扱拡大など原料面での取組みを強化していく。
また、トータル生産コスト低減の取組みとして、土壌診断にもとづく適正施肥。「PKセーブ」「混合堆肥複合肥料」など施肥コスト抑制銘柄の普及推進。鉄コーティング水稲直播の技術普及および展示圃、実証圃を通じた関連資材や関連技術の開発・普及による省力化、施肥量削減に取り組んでいく考えだ。
(資料)27肥料年度秋肥主要品目価格変動率
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