出光興産と双葉電子工業が国産ドローンの事業化 サービスステーション(SS)をドローンステーションに2023年7月26日
出光興産と双葉電子工業(千葉県茂原市)は、共同で開発した国産ドローンを活用し、地域課題を解決するサービスの事業化検討を開始した。開発から運用、人材育成までをトータルに提供するビジネススキームの構築を目指す。
共同開発中のドローン
少子高齢化、人手不足などの社会課題を解決するための手段として、ドローンをはじめとする省人化・無人化機器の活用が一層望まれている。両社はドローンの活用領域を拡大し、人々の豊かな暮らしづくりに貢献する取り組みを進める。具体的には、複数の用途に対応できる機体の開発に加え、ガソリンスタンドのサービスステーション(以下、SS)を起点とした設備点検、農業利用、物流配送、災害対応など、各種サービスの事業化に向けた検討を行うとともにドローンの操縦技術者の育成にも取り組む予定だ。
機体開発では、2022年度から1台の機体で複数の用途に対応できるマルチユースドローンの開発を進めてきた。機体下部にアタッチメント方式を採用しており、用途に応じてアタッチメントを付け替えることで物流や撮影、有線による長時間飛行など、複数の用途に対応することができる。加えて、広範囲での活動が可能となる上空LTE(モバイルネットワークを介してドローンをコントロールする通信方法)を使用した無線技術の活用により、外部サーバーを経由することなく複数拠点へのデータ送信、オンタイム電送(ネットワークを通じてリアルタイムで撮影画像などを電送する技術)も可能になる。今後は用途に合わせたアタッチメントや簡易な操作システムの開発、次期開発機として小型機の開発を検討する。
点検実証の様子
サービス開発では、製造分野、農業分野、災害対応分野で全国各地の様々な企業と連携し、実証実験を行う。製造分野では、出光興産の事業所内設備や寒冷地(北海道)でのソーラーパネル設備点検への活用、農業分野では、果樹・茶畑等の整備の高度化に向けた傾斜地での巡回生育監視および測量、 災害対応分野では、SSを拠点とした有線給電飛行による長時間の状況監視および自治体への監視状況の同時提供などを行う。それ以外の分野(観光地での空撮やSSを活用した物流等)においても、ドローンに関連する各種制度や環境の変化に応じて実証実験を実施し、サービス範囲の拡大を目指す。
人材育成では、操縦技術者育成スクールの全国展開および資格取得後のサポート体制構築、機体認証制度に応じたメンテナンス等、アフターサポートの体制構築を行う。出光興産のSSネットワークおよび整備技術を有する人材と、双葉電子工業の高度な無線通信技術を駆使したドローン開発技術を活用し、機体開発から運用、人材育成まで一気通貫したドローン事業を推進する。
なお、本紙の取材に対し、SSの活用については「当該SSが所在する自治体(行政、消防等)との連携合意、地域住民への理解促進が必要な条件と考えており、ドローン事業の一環としてライセンス事業も展開する予定」と回答している。
双葉電子工業は、1948年に真空管の製造・販売会社として設立。ラジオ受信用の真空管など、多くの真空管の製造実績を持ち、1962年にホビー用ラジコンの送信機・受信機の製造および販売を開始。その中で培った技術や経験をもとに、国産産業用ドローン「SkyBuddy」シリーズを展開。
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