森林環境税の制度設計大詰めに2017年10月27日
・個人住民税の均等割り方式に
・税収の配布先は依然意見交錯
森林環境税創設に向けての検討を進めている総務省の森林吸収源対策税制に関する検討会は10月26日に第6回会合を開催し、次回検討会で報告書をまとめることを確認した。
検討会を終えた後に小西砂千夫座長(関西学院大学大学院教授・地方財政学)が明らかにしたもので、「森林環境税の創設に関しては、個人住民税均等割りという形の国税形式を適用することとし、民有林を持っている地方団体に裁量の範囲を残しつつ厚く分配すること、の二点に関してはおおむね合意に達している。ただし地方贈与税の制度を活用して税収を地方団体に帰属させることに関しては、これを市町村とするか、都道府県も対象に加えるかについては、まだ意見の一致を見ていない」と語り、これまでの検討経過を総括した。
森林環境税の創設に関しては、昨年度の与党税調の答申の中で「具体的な仕組み等について総合的に検討」すると記されたことから、中央財政審議会の下に「森林吸収源対策税制に関する検討会」が本年4月に設置され、第1回検討会は4月21日に開催、以後ほぼ月1回のペースで検討を重ね、今回が6回目の検討会となった。
検討会を終えた時点で会見した小西座長は、「新たな税を措置するうえで、必要な制度を検討することが目的で、いついつまでに創るといったことを検討する機関ではない。個人住民税均等割の枠組みを活用して創設するのであれば、復興財源を確保するための税制上の措置や府県等で行われている超過課税も勘案しながら、制度設計を図るということだ。恒久的な制度として検討していく必要がある」として、具体的な導入時期については言及を避けた。
ただし、検討会での審議では、多面的な機能を有する森林の管理を進めなくてはならないことは国民の理解を得ており、一方で、今後手入れが行き届かない森林が増えことが避けられない状況であることを踏まえたうえで、新たな財源確保の道を検討。
地方税はその税収を他の市町村の行政経費に充てることは制度上不可能なことから、国税としての個人住民税の均等割という形をとることとし、また国税として得られた税収を民有林を持っている地方団体に裁量を残しつつ使途を定めることができる仕組みとして、既存の地方譲渡税の制度を活用することについては委員の大方の合意を得ている。
今後の課題としては、税収を地方団体に帰属させる方法として、市町村を対象とするのか、都道府県をそれに加えるのかについては依然委員の中で意見が分かれているとして、その問題は、まとめをおこなう次回検討会に持ち越すこととなった。
(写真)これまでの検討結果を総括する小西座長(総務省記者会見場で)
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