概算金なぜ上がる 7月末に状況一変 不透明感、農水省にも問題2025年8月29日
2025年産米の概算金が、前年比で大幅に上昇している。全農県本部や産地JAの担当者によると、背景には7月末に一変した需給状況がある。猛暑や水不足による作柄への不安が主因だが、農水省の対応も需給を見通しにくくしている。

設定が難しかった25年産米概算金
2025年産米の概算金設定は難しかった、と多くの全農県本部や産地JAの担当者は口を揃える。「今後の作柄や需要量に応じて、需給緩和となるのか需給がタイトとなるのかは非常に不透明な状況」(全農みやぎ)だったからだ。
当初、多くの取引関係者は、米の需給が緩和し、価格は米価は下落するだろうと予測していた。早期米はともかく、通年で販売する普通期米は、価格が維持されるか見通しにくかった。作付意向調査の結果や政府備蓄米の大量放出も相まって、2025年産の作柄が平年並みであれば2026年6月末の在庫は300万t近くに達し、価格が暴落するのではという懸念さえ出ていた(6月末の適正在庫は180~200万t)。
7月下旬に空気が変わる
空気感が変わったのは7月末だった。
多くの集荷担当者は、「高温と水不足で作柄への不安が広がり、需給と米価をめぐる情勢は7月下旬に変わった」(全農とちぎ米穀課)と受け止める。JA福井県の担当者が「当初、需給が緩んで米価が下落方向に進むとみられたが、ここにきて情勢が大きく変化した。市場の価格も日に日に上がってきている。......やはり、猛暑と渇水が作柄に影響し、需給が見通しにくくなったことが大きい」というように、情勢が一変した主因は猛暑と渇水、イネカメムシなどの被害が作柄に与える影響への懸念だ。
主産地から遠い西日本、とりわけ九州や四国では、米の不足感が強い。JA阿蘇の担当者は「西日本、特に九州では備蓄米や輸入米も少なく、東北や関東とは事情が異なる」と説明。JA高知県の担当者も「県内はまだ備蓄米の出回りも少なく、スーパー店頭価格は4000円台だ」と話す。25年産米の概算金が高値で始まった一因には、こうした西日本での不足感が影響しているとの見方もある。
不透明感増した農水省対応
全農にいがたでは猛暑、渇水に加え、「需要が上振れしたとの農水省発表も重なって、集荷競争が激化している」とする。農水省は7月30日の食糧部会で、「24/25年の主食用米等の需給見通し」のうち、24年7月~25年6月の需要量が当初見通した674万tではなく711万tだったと「37万tの上振れ」を明かした。農水省が認める前から「この2年ほど米は不足していた」というのが系統内外を問わず取引関係者の実感だったが、巨大な需要上振れに改めて衝撃が走った。
農水省は7月30日の部会で、「2024/25年の需要実績」もそれにもとづく「25/26年の需要見通し」も示さなかった。さらに遡ること6月16日には、小泉進次郎農相が「米の作況指数」廃止を打ち出している(総務省産業統計部会で審議中)。これまで米価決定の重要な参考指標とされてきた需給見通しが示されず作況指数もなくなり、市場の不透明感は高まった。
首都圏の商系集荷業者は「水不足で空気が変わったが、雨も出穂期にぎりぎり間に合ったし、政府備蓄米の販売延長も決まった。2026年6月末在庫が250~280万tになるとの見方もあり、ここまで上がる理由がわからない。資金繰りが大変で、JAに買い負ける同業者もいる」と話している。
消費者のため「安定供給」
各県の全農やJAの担当者に共通するのは安定供給への強い思いだ。スーパーの店頭価格は小売業者が決めるが、「消費者が精米5kgを3000円台で買えるようにと考えて概算金を決めた」という声も多く聞かれた。
2024年産米をめぐっては、需給バランスが崩れ米が不足したことを背景に集荷競争が激化し、JAや全農が集荷率を落として米が商系業者に流れ、業者間取引のスポット価格高騰が小売価格急上昇につながった。鹿児島県経済連の担当者は「精米5kg4000円を超えるような高騰を産地は望んでいない。再生産コストがまかなえ、消費者も安心して買える価格で安定供給したい」と話す。
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