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原発賠償 中間指針の考え方

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原発賠償 中間指針の考え方
著者
中島肇
発行所
商事法務
発行日
2013年3月27日
定価
4200円+税
電話
03-5614-5643
評者
馬場利彦 / JA全中参事
 本著者の中島肇弁護士は、JAグループにとって、長年全農の顧問弁護士をされ、さらに原子力損害賠償紛争審査委員会委員に選ばれてからは、原発事故による福島をはじめとした多くの県の農産物の損害やいわゆる風評被害に対して、実態に即して現場の生産者をどのように救済するかについて、お知恵を絞って頂いた恩人である。

苦難の実態ふまえた救済の論理

 JAグループでは、東京電力の原発事故によって未曾有の広域の農畜産物および産地への出荷停止や作付制限などの実損、さらに事故を原因とする農産物価格の市場からの取引の手控え、価格下落といったいわゆる風評被害の事態に立ち至った際に、組織をあげて被害にあわれた組合員への救済体制として、東電への請求のための基準作り、請求基礎資料の取りまとめ、個々の組合員の請求の取りまとめ、賠償金の分配等を行う協議会体制を構築し、事態に対応してきた。しかし、こうした取組みをすすめるにあたって当初、大きな壁となったのが、いわゆる風評被害についてのそれまでの判例が限定的な考え方であったことである。
 中島先生のご努力により、いわゆる風評被害をはじめとした賠償範囲について、例えば「県産」「農林産物」「産品」という範囲等、現場実態に充分に配慮された中間指針が策定された。未だに被害をこうむり続けている現場からすれば、中間指針に盛り込まれ、賠償金を受け取ったとしても素直に喜べないという心情は厳然としてあるものの、先生のご尽力がなければ、迅速に支払われたのかどうか、いまだに紛争していたのではないかと思うと感謝に堪えない。
 いわゆる風評被害による農畜産物の価格下落など生産者等の損害の請求を、県中央会を中心に協議会としてとりまとめ、東京電力に対し請求しているのは、平成25年3月現在で3524億円にのぼり、これに対し、2934億円が支払われている。畜産物の風評被害の範囲として県名が指針で明確にされずに、ADR・原子力損害賠償紛争解決センターの和解仲介手続きに申し立てた県もあるが、「相当の因果関係」の証明のもとに一定の損害が認められ合意に至った例もある。
 さて、本書はその題名どおり、原子力損害賠償審査会の中間指針について、その背景にある考え方を著者として理論的に明らかにしたものである。本書では、「原子力損害」の意義・類型を整理したうえで、とりわけ中間指針が、事故により日常生活の維持継続が阻害されたために生じた精神的苦痛を「補償」という性質で優先したことを解説している。
予防原則
 そして、本書の真骨頂は、今回の原発事故において、放射線被ばくの人体への影響が科学的に確立されていないなかでは、損害の範囲を予防原則という考え方に立って、いわゆる風評被害や自主的避難、さらには個人での除染費用など、多くの行動を「合理的な回避行動」として広く賠償の対象としたという判断を理論的に解説されていることである。
 今回のいわゆる風評被害等に対する指針は、当然、将来の法律の運用において大きな影響を持つはずであり、今回の不幸な事故のみならず、将来にわたって、農産物の風評被害等への救済に対し、一定の道筋を描いていたものであり、その功績ははかりしれないといえる。 最後に、著者が「はしがき」で触れているように、現在、現地で課題となっているのは、帰宅困難区域等の農地や家などの財物の賠償である。今後とも中島先生の御尽力をお願いしたところである。

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