FAO 国連食糧農業機構【イタリア通信】2026年3月21日

昨年10月、ローマのFAO、国連農業機構の中に「博物館」がオープンしました。
FAOは第二次世界大戦終了直後の1945年10月16日に、戦争で深刻化した「飢餓と食糧不足」への対策を目的とし、「世界から飢えを無くす」ことを使命として誕生しました。
ちなみに10月16日は現在「世界食糧デー」となっています。

そして当時ワシントンD.C. にあった本部が1951年にイタリアのローマに移されました。しかし、1951年といえば、日本と同じ敗戦国であるイタリアは未だ国連には加盟しておらず(加盟1955年、日本は1956年)、なぜローマにFAOを誘致することが出来たのでしょうか。
イタリアと日本の違いは、1943年にムッソリーニのファシスト政権に変わるバドリオ政権を作り連合国と休戦、日独に宣戦布告、中北部イタリアを占領したドイツ軍とファシスト政権に対して激しい抵抗運動を行い、ほとんどの都市を自力で開放、1945年には国民投票で王制を廃止し、制憲議会を開いて新憲法を制定しました。国連には加盟していなかったが独立国であったために1945年にはFAOに参加、誘致が可能でした。
そして1961年には、緊急食糧支援や学校給食支援などを行うWFP(国連世界食糧計画)が、1977年にはIFAD(国際農業開発基金)が開設され、ローマが世界の農業政策の中心地となりました。
FAOは敗戦直後、深刻な食糧不足に悩んでいた日本に対して「農業復興の調査」「食料政策への助言」「栄養改善の指導」などを行い、GHQ(連合国軍総司令部)や国際連合児童基金と協力して支援を行いました。

その当時小学生だった私は、学校給食で出された脱脂粉乳で作られたミルクコーヒーがあまりにもまずく、イタリアに来てからしばらくの間はカプチーノを飲むことが出来ませんでした。しかしそのおかげで「われわれの年代は無事に成長することが出来た」と今では感謝しています。

日本は敗戦直後の食糧難で悩んでいた時代、その解決に色々と力を貸してもらい、その後経済が復興するとその経験を生かして東南アジア、南アジア、アフリカなどで技術援助を行い、とくにコメの増産に大きく寄与しました。

現在の日本は被援助国から援助国へと立場が逆転し、分担金はアメリカ、中国に次いで第3位ですが、個々のプロジェクトへの拠出金を合わせるとアメリカに次いで2位。技術援助などを含め、大きく貢献しています。
前置きが長くなりましたが、2025年はFAO設立80周年記念の年。そして10月16日の設立記念日は「世界食糧デー」。この日にあわせて「食料と農業のための博物館・ネットワーク」がオープンしました。
国連は国々の代表が世界的な問題を話し合う、庶民には遠い存在。FAOも私たちには直接関係ない機関でした。
しかし考えてみれば、FAOは私たち人間が生活していくために欠かすことが出来ない「食料と農業」を地球規模で扱う大切なところ。博物館はそのことを世界中の人に知ってもらう為に作られました。
その対象は子供たちや学生、家族連れなど。幸い場所は世界でも観光客がトップクラスのローマのコロシアムのすぐ近く。館内にはヴィデオやデジタル技術を使って世界の国々、民族の食文化や料理の伝統、農業の歴史などが展示されており、楽しみながら食料や農業について色々と知ることが出来、FAOが身近に感じられます。

ローマに長年住む私がこれまでこのように重要で、日本とも関係の深い、そして世界の飢餓と戦い、平和に寄与している国連の機関にあまり関心を持たなかったことをちょっと恥ずかしく思います。
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