セイロンコーヒーを消滅させた大英帝国の野望 貴族趣味の紅茶の陰にタミル人と現地人の奴隷労働

- 著者
- 清田和之
- 発行所
- 合同フォレスト
- 発行日
- 2013年2月20日
- 定価
- 1600円+税
- 電話
- 03-3295-5200
- 評者
- 北出俊昭 / 元明治大教授
本書はセイロンコーヒーを消滅させたイギリスの植民地支配を歴史的に辿りながら、コーヒーの過去と現在および未来のあり方を論じている。
植民地の歴史から今日の貿易をみる
その特徴の一つは、セイロンの植民地支配と関連づけながら、世界のコーヒーの「血と涙の歴史」について述べていることである。セイロンはコーヒーの適地であったが、イギリスの統治に変わった結果、利益率が高い紅茶に切り替えられ、文化もイギリス化されたという。
世界商品としてのコーヒーの生産・流通の特徴は、昔から産地は植民地・発展途上国、生産労働は黒人奴隷や現地極貧層および移民に依存しながら、流通は先進国資本が支配していたため、コストを大幅に下回る低価格で買い叩かれるのが実態であった。この構造は現在も基本的には変わっていない。
そこで近年重視されているのがフェアトレードである。プランテーションではなく庭先栽培の提起など、自らの体験も含めその実態と今後の課題について具体的に述べているのが本書のいま一つの特徴である。
FLO(フェア・トレード・ラベル・オーガナイゼーション)マークの使用をはじめフェアトレードにより途上国の生産者を守り生産物の差別化を進める重要性が熱く強調されている。イギリスではすでに特別コーナーを設けている協同組合店舗がみられるが、FLOマークを使用している大規模食品業者もあるという。グローバル化した現在の多国籍企業による食料・農産物貿易を考える上で、本書は貴重な示唆を与えるものといえる。
重要な記事
最新の記事
-
「良き仲間」恵まれ感謝 「苦楽共に」経験が肥やし 元島根県農協中央会会長 萬代宣雄氏(2)【プレミアムトーク・人生一路】2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(1)2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(2)2025年4月30日
-
アメリカ・バースト【小松泰信・地方の眼力】2025年4月30日
-
【人事異動】農水省(5月1日付)2025年4月30日
-
コメ卸は備蓄米で儲け過ぎなのか?【熊野孝文・米マーケット情報】2025年4月30日
-
米価格 5kg4220円 前週比プラス0.1%2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間にあたり】カビ防止対策徹底を 農業倉庫基金理事長 栗原竜也氏2025年4月30日
-
米の「民間輸入」急増 25年は6万トン超か 輸入依存には危うさ2025年4月30日
-
【JA人事】JAクレイン(山梨県)新組合長に藤波聡氏2025年4月30日
-
備蓄米 第3回は10万t放出 落札率99%2025年4月30日
-
「美杉清流米」の田植え体験で生産者と消費者をつなぐ JA全農みえ2025年4月30日
-
東北電力とトランジション・ローンの契約締結 農林中金2025年4月30日
-
【'25新組合長に聞く】JA新潟市(新潟) 長谷川富明氏(4/19就任) 生産者も消費者も納得できる米価に2025年4月30日
-
大阪万博「ウガンダ」パビリオンでバイオスティミュラント資材「スキーポン」紹介 米カリフォルニアで大規模実証試験も開始 アクプランタ2025年4月30日
-
農地マップやほ場管理に最適な後付け農機専用高機能ガイダンスシステムを販売 FAG2025年4月30日
-
鳥インフル 米デラウェア州など3州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入停止措置を解除 農水省2025年4月30日
-
埼玉県幸手市で紙マルチ田植機の実演研修会 有機米栽培で地産ブランド強化へ 三菱マヒンドラ農機2025年4月30日
-
国内生産拠点で購入する電力 実質再生可能エネルギー由来に100%切り替え 森永乳業2025年4月30日
-
外食需要は堅調も、物価高騰で消費の選別進む 外食産業市場動向調査3月度 日本フードサービス協会2025年4月30日