ドイツに学ぶ地域からのエネルギー転換 再生可能エネルギーと地域の自立
- 著者
- 寺西俊一・石田信隆・山下英俊 編著
- 発行所
- 家の光協会
- 発行日
- 2013年5月1日
- 定価
- 本体1800円+税
- 電話
- 03-3266-9029
- 評者
- 村田武 / 九州大学名誉教授
わが国では自民党安倍政権のもとで、東電福島第一原発事故を忘却し、福島県民を棄民化する一方で、原発の再稼働と維持・推進、果ては原発輸出を成長戦略とする"揺り戻し"が強まっている。
社会を変えるエネルギー協同組合
本書は、農林中央金庫の一橋大学への寄附講座「自然資源経済論プロジェクト」(代表・寺西俊一・同大学大学院経済学研究科教授)に集う研究者グループが、保守政権のもとでも敢然と脱原発に向けて転換したドイツに学ぶべきではないかとする緊急の提案書である。「農林水産業の産業的営みと農山漁村の地域社会における生活的営みを一体的にとらえる自然資源経済論」を提起する研究グループならではの調査研究に学ぶところが大きい。
ドイツでいわれる「エネルギー転換」は、エネルギー源の再生可能エネルギーへのシフトにとどまらず、大規模集中型から小規模分散型へのエネルギー供給・インフラ整備と徹底した省エネルギーに加えて、地域外の大企業に依存しない「地域からのエネルギー転換」にある。そして、この地域主導型再生可能エネルギー事業は、「エネルギー協同組合」づくりと、必要な資金をライファゼン銀行など地域金融機関のファイナンスが担っている さらに、ドイツでの実践との対比で、本書が提案するわが国での地域からのエネルギー転換はきわめて説得的である。本書が協同組合陣営で再生可能エネルギー推進のテキストとして活用されることを期待したい。
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