千五百秋に よみがえれ富山の農
- 著者
- 北日本新聞社編集局
- 発行所
- 北日本新聞社
- 定価
- 本体2000円+税
- 評者
- 梶井功 / 東京農工大学名誉教授
「葦原の千五百秋の瑞穂の国」。
これはいわゆる天壌無窮の神勅で使われている農業国日本の"美称"である。が、兼業化、高齢化が進んだ今、胸を張って"千五百の秋の瑞穂の国"を謳えるところがどれだけあるだろう。
150を超す農家の声集めた労作
本書は、兼業化率全国一、そして稲作依存度も全国一の富山県農業の現状と課題を、県内外に取材し、瑞穂の国へのよみがえりの途を探求した北日本新聞の71回にわたる連載「千五百秋に」が一冊になったものである。
第1部「とやまの潜在『農』力」、第2部「総兼業化の果て」、第3部「岐路に立つコメ作り」、第4部「複合・効率化への挑戦」、第5部「販路を拓け」、第6部「『強い農』を求めて」、第7部「未来へつなぐの7部で」、150人を超える“生産者”の声が整理されている。
そのうち第6部は「強い農」を代表する県外の興味ある事例が収録されている。そして最後に“社会政策的な農政が始まる契機となった米騒動”などの“歴史を振り返れば、この国の農業を変革する役割の一端を担ってきたのは、間違いなく富山県人だった”ことを強調、次の“新しい農業・農村モデルを創造するのも富山であってほしい”と願う酒井富夫・富山大学教授ら10人の識者のインタビュー編が第8部として収められている。
丹念な取材で日本の農業の抱える課題、めざすべき方向を明らかにした労作であり、5月10日、第28回農業ジャーナリスト賞を受けている。
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