【森田実の政治評論】臨時国会の課題は安倍政治を点検し暴走を止めることだ2018年10月25日
「政は正なり」(孔子)
◆国会は国権の最高機関としての責任を果せ!
「国会は、国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関である」と日本国憲法第41条は規定しています。すべての国会議員は、このことを自覚し、内閣に過ちがあればこれを正すために国会議員の見識を示すべきです。国会は内閣の上位にあることを強く認識しなければなりません。
ところが現実はどうでしょうか? 内閣が国会の上位にあり、国会はあたかも内閣の下請け機関のようになってしまっています。これは明らかに国会の堕落です。
国会議員の目を覚まさなければなりません。国会は国権の最高機関なのです。2018年秋の臨時国会の役割は、国権の最高機関としての自覚を取りもどし、国会としての責任を果すことにあるのです。
◆「嘘の政治」に終止符を!
81年前の昭和12(1937)年以後今日に至る81年の日本の歴史は、1932年生れの私の記憶のなかにあります。第二次世界大戦中、当時の軍事政権は嘘をつきつづけました。大本営発表はほとんどすべてが嘘でした。
第二次世界大戦後の政府は戦時中に比べれば嘘は少なくなりました。政治家、官僚、経営者、ジャーナリスト、学者など社会的に教養のある指導者は、戦時中に比べれば正直になりました。
しかし最近はどうでしょうか? 指導的政治家の嘘が目立つようになりました。官庁指導者の嘘は深刻な状況にあります。経営者、技術者の嘘も際立っています。学者もジャーナリストも正直でなくなりました。日本はかなり深刻な「不正直社会」と化してしまっています。
日本においては指導者は、一般国民よりも道義的に堕落してしまっています。この日本で最も正直な人々は、自然の中で生きている農業者です。自然には嘘は通用しないのです。
今日の嘘が横行する日本社会を正す責任は第一義的に国会にあります。国会は、行政府の嘘と文書の改ざんを直すために全力を上げるべきです。
2018年秋の国会の役割の第一は、「嘘の政治」「嘘の行政」「嘘の経営」を正すため、真実を追求することにあります。とくに政治権力を行使する立場にある指導者の嘘は、徹底的に究明すべきです。
◆トランプの蹂躙から日本農業を守れ!
安倍総理はトランプ米大統領に従順すぎると思います。安倍総理は従来から日米2国間の貿易交渉はやらないと主張してきましたが、しかし、米国政府に押されて二国間交渉を簡単に受け入れてしまいました。あきらかに安倍外交の敗北です。
米国政府は自動車と農業に的をしぼってきました。米国政府の狙いは日本の食料を支配することです。米国政府は、日本政府が工業とくに自動車重視で、農業を犠牲にすることを長い間の体験を通じて知っているのです。日本政府の方も今までと同じように、農業を犠牲にして自動車を守ろうとしているのです。
しかし、これ以上日本の農業を犠牲にすることは、自給率が38%まで低下している現状を考えれば、日本の食料安全保障の崩壊を意味しています。これは日本の滅亡に通じます。
日本は今までの日米交渉のやり方を変えなければならないのです。安倍総理は、トランプ大統領に対して「農業では今後絶対に譲歩しない」ことを強く申し入れるべきです。もしそれでも米国政府が農業面で日本に譲歩を迫るならば、日本は今後米国の兵器は買わないことを明言すべきです。
農業こそは国民の命です。農業を守ることは日本国民の命を守ることです。今臨時国会において、国会は農業において米国政府に譲歩しないことを決議すべきです。
◆国民の命を守る防災対策を!
自然災害が頻発しているだけでなく、一段と激しくなっています。地球内部のマグマの活動が活発化している結果、地球が荒れ始めていると分析している自然科学者もいます。
どんなにすごい自然災害が起きても人類はそして日本人は生きつづけなければなりません。日本国民が、激化し極端化する自然災害のなかで生き抜くためには、抜本的な防災・減災対策を講じなければなりません。
今臨時国会は、災害復旧のための補正予算を決定するだけでなく、今後の防災基本計画を打ち出す必要があります。
このほか、日本は数々の新しい政策と対策を決めなければなりません。いま難問山積です。
安倍総理は、このような忙しい状況にもかかわらず国民が支持しない「安倍の、安倍による、安倍のための」憲法改正を強行しようとしています。これほど愚かなことはありません。撤回すべきです。
(森田実氏のよく読まれている記事)
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