国民の側に立つCOVID‐19対策【森島 賢・正義派の農政論】2020年9月23日
政府が新しくなり、野党の一部も合流して、新しい立憲民主党が誕生した。新しい政治は、どのようになるか。
政治についての国民の最大の関心事は、COVID‐19問題である。この問題について、新しくできた菅義偉政府は、これまでの政府の対策を継承するといっている。野党はどうか。
野党も、これまでの政府の対策を是認しているようだ。せいぜい休業補償の金額を増やせとか、国民1人当たり10万円の給付金を、もう一度行えとか、いうだけである。それらは当然だし重要だが、しかし根本的な批判をしていない。
問題はないのか。
世論調査(日経9月16-17日)によれば、菅内閣はCOVID‐19問題を最優先課題にすべきだという。
そこで、COVID‐19対策だが、上の図は、菅内閣が重点を置くべきことは、感染防止か経済回復か、という世論調査(NHK7月10‐12日)の問いに対する国民の答えである。国民の大多数の67%が感染防止と答えている。経済回復と答えた国民は僅か25%に過ぎない。
しかし政府は、こうした世論に挑戦するかのように、感染防止と経済の両立といっている。
それでも野党は、政府の対策を批判しないのか。それでは、国民は政治に絶望するしかない。
◇
政府は感染防止のために何をしているか。それは、国民に対する行動の自粛と営業の抑制の要求である。この2つを、ある時は弱め、ある時は強める、という対策である。そうして、感染の全責任を国民に負わせている。
このように、政府は旧態依然とした検査体制と隔離・医療体制を墨守し、医療が崩壊する、などと国民を脅して検査を抑制し、感染の実態を見ようとしない。
これは無責任であり、下策である。
感染を防止する王道は、市中の感染者を早く見つけ出し、隔離して治療することである。だが、政府はそれをしない。検査と治療の体制の整備は、政府の責任だが、それをしない。口先では、整備するといっているが、実際にはしない。
◇
これでは、感染が拡大し、果てしなく続く。政府は、来年前半にはワクチンが出来るというから、それまで続けるつもりだろう。それまで我慢せよ、といいたいのだろう。
いったい、それまでにワクチンが出来るか。多くの専門家は否定的である。もし出来たとしても、それまでに爆発的に蔓延したらどうするのか。また、もし出来なければ、蔓延は延々と続く。それでいいのか。
◇
野党は、この基本点を批判して政府に改善を要求すべきだが、それをしない。そうして、特措法の改正など、迂遠な要求をしている。
だが、いまは国内総生産が28.1%も大幅に減るという未曽有の、国難といわれるほどの非常時である。だから、法改正などという迂遠な要求ではなく、法の拡大解釈を要求して、この非常時を乗り切るべきではないか。
だが、それをしない。だから、いまも多くの国民が、政府の誤った対策の犠牲になって、生命を失っている。また、収入を失っている。
◇
いったい政治は、つまり政府・与党と野党は、国民の悲痛な要求を分かっているのか。
国民の苦難を取り除くには、王道に立って、いまの腐りきった検査と治療の体制を抜本的に破壊し、新しく整備しなければならない。
もちろん、医療の現場で献身的に苦闘している人たちには、頭が下がるばかりだが、全国の医療関係者が、この国難に立ち向かっているわけではない。非常時に即応する体制が全くないからである。
この国難に立ち向かうには、政府が非常時に対応する中央司令部を新しく作り、各省庁の権限を根こそぎ取上げ、そこに権限を集中して対策にあたらねばならない。
◇
野党は、そうした要求を何故しないのか。知識が足りないのなら、COVID‐19撲滅国民会議というような在野の組織を作り、心ある多くの専門家の知識を借りたらどうか。そうして、野党の司令部を作り、政府に具体的な要求を突きつける機関にしたらどうか。そうすれば、政府・与党も安閑としていられない。
それができれば、野党に対する多くの国民の熱烈な支持が得られるだろう。野党は、近くに迫っている総選挙で勝って政権を奪えるだろう。
いまは非常時なのだ。事態は切迫している。自助か公助か、などという悠長な議論をしているときではない。モリ・カケ問題の追及などは、平時に戻ってからでいい。
(2020.09.23)
(前回 国民の命を賭けるCOVID‐19対策)
(前々回 対立するCOVID-19対策)
(「正義派の農政論」に対するご意見・ご感想をお寄せください。コチラのお問い合わせフォームより、お願いいたします。)
重要な記事
最新の記事
-
(394)Climate stripes(気候ストライプ)【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年7月26日
-
地域医療の実態 診療報酬に反映を JA全厚連が決議2024年7月26日
-
取扱高 過去最高の930億円 日本文化厚生連決算2024年7月26日
-
【人事異動】JA全厚生連 新理事長に歸山好尚氏(7月25日)2024年7月26日
-
【警報】果樹全般に果樹カメムシ類 県下全域で最大限の警戒を 鳥取県2024年7月26日
-
【注意報】イネに斑点米カメムシ類 県下全域で多発のおそれ 山形県2024年7月26日
-
今が旬の「夏酒」日本の酒情報館で提案 日本酒造組合中央会2024年7月26日
-
ヤンマーマルシェ、タキイ種苗と食育企画「とりたて野菜の料理教室」開催 カゴメ2024年7月26日
-
「ごろん丸ごと国産みかんヨーグルト」再登場 全国のローソンで発売 北海道乳業2024年7月26日
-
物価高騰が実質消費を抑制 外食産業市場動向調査6月度2024年7月26日
-
農機具王「サマーセール」開催 8月1日から リンク2024年7月26日
-
能登工場で育った「奇跡のぶなしめじ」商品化 25日から数量限定で受注開始 ミスズライフ2024年7月26日
-
東京・茅場町の屋上菜園で「ハーブの日」を楽しむイベント開催 エスビー食品2024年7月26日
-
鳥インフル 米国オハイオ州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入停止措置を解除 農水省2024年7月26日
-
大玉すいか販売大幅減 小玉「ピノ・ガール」は前年比146.8% 農業総研2024年7月26日
-
千葉県市原市 特産の梨 担い手確保・育成へ 全国から研修生募集2024年7月26日
-
水産・農畜産振興 自治体との共創事例紹介でウェビナー開催 フーディソン2024年7月26日
-
新規除草剤「ラピディシル」アルゼンチンで農薬登録を取得 住友化学2024年7月26日
-
自由研究に「物流・ITおしごと体験」8月は14回開催 パルシステム連合会2024年7月26日
-
高槻市特産「服部越瓜」の漬け込み作業が最盛期2024年7月26日