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ヒデキとハリス【小松泰信・地方の眼力】2020年11月11日

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「自分にコントロールできないことは一切考えないですね。考えても仕方ないことだから。自分にできることだけに集中するだけです」と語ったのは、元大リーガーの松井秀喜(まつい・ひでき)氏。
まったく関与できない日本人に、朝から晩まで、アメリカ大統領選挙の動向を垂れ流す報道にうんざりしていた時、氏の名言を思い出した。
自分の力ではまともな答弁もできない菅首相を、関与権を持つ日本人から守るのには、格好の時間つぶしなのだろう。

komatsu_honbun.jpg10月の自殺者急増

貴重な時間がもてあそばれる間に、貴重な人生に自ら幕を閉じねばならない人たちが増えている。
9月30日の当コラム「早まるな!女性たち!」で危惧していた事態が現実となってきた。女性の自殺者の増加である。そして、男性の自殺者数までもが増加している。
11月10日に警察庁が発表した10月の自殺者数(速報値)は、女性851人、男性1302人、総数2153人。いずれも今年最多。1ヶ月の死者が2000人を超えるのは、18年3月(2500人)以来のこと。
対前年同月比で、女性82.6%増、男性21.3%増、総数39.9%増。この増加率に慄然(りつぜん)とする。
先のコラムで紹介した、「雇用環境の悪化が本格的に現れるのは景気悪化の半年後のため、10~12月が正念場になる」とする永浜利広(ながはま・としひろ、第一生命経済研究所首席エコノミスト)氏のコメントが現実味を帯びている。
雨宮処凛(あまみや・かりん、作家・政治活動家)氏の、年末年始を迎える時期に「また自殺者が増えたならそれは完全に『政治の無策』だ」、まずは「必要な人には、何度でも給付を」「できるだけ、簡単な手続きで」「それで救える命は確実に、多くある」との悲痛な訴えを、今回もまた紹介しておかねばならない。

今も、まさに緊急時です

しかしこの叫びが為政者に届くかどうか、悲観的にならざるを得ない。
時事通信(10月26日17時43分)は、「財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は26日、歳出改革部会を開き、新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受けた中小企業の支援策について議論した。財務省は、持続化給付金や家賃支援給付金に関して『緊急時の対応だ』と指摘し、申請期限を迎える来年1月15日に予定通り終了するよう提言した。ただ、中小企業の経営環境は依然厳しく、提言には反発が出る可能性もある。(中略)26日の部会に出席した委員からは、持続化給付金などについて、『事業が芳しくない企業の延命に懸念を持っている』といった声が続出。予定通りの終了を支持する意見が大勢を占めた。一方、『感染の収束状況に応じて柔軟に検討できるよう経過措置を設けるべきだ』と慎重な対応を求める意見もあった」ことを伝えている。
荻原博子(おぎわら・ひろこ、経済ジャーナリスト)氏は、『サンデー毎日』(11月22日号)において、誰も予期していなかったコロナ禍によって中小企業は苦しんでおり、決して意欲や努力の欠如ではない、とする。
そして、我が国では勤労者の7割が中小企業に勤めていることから、「従業員10人の会社が倒産しないように支えれば、家族を含めて40~50人が路頭に迷わずにすみます」として、緊急支援の必要性を指摘する。


悪夢の先祖返り

英国にも同様な事態が起こっていることを、ブレイディみかこ氏(英国在住保育士、コラムニスト)が西日本新聞(11月11日付)で教えている。
英国では、貧困層の家庭の子どもに無償で給食を提供しているが、ロックダウン(都市封鎖)で休校中には、スーパーなどで使えるバウチャー(voucher;引換券)を配付することで給食が代替された。この制度を21年の春休みまで延長する案が10月に下院議会で否決された、とのこと。
この動きは、コロナ禍にあって「助け合い」のムードが盛り上がって生まれた「寛大な政治」が、「社会などというものはありません」という過激なメッセージを発し、「自助」を信じた故サッチャー元英国首相によって確立された、英国の新自由主義思想によって立つ政治経済体制に戻りつつあることを意味している。
ブレイディ氏は、「そもそも『飢えた子どもにも食べさせる』というシンプルな原則を曲げるのに自助だの責任だの道徳めいたことを持ち出すのは、正当化しなければならない経済政策が裏にあるからだ」と、経済政策そのものに疑問を投げかける。
そして「コロナ禍は人間や社会を前進させると言われてきたが、果たしてそうだろうか」と、悪しき先祖に帰りかねないことを危惧している。


心に届く言葉を発し続ける

「私が初の女性副大統領になるかもしれませんが、最後ではありません。すべての幼い女の子たち、今夜この場面を見て、わかったはずです。この国は可能性に満ちた国であると。私たちの国の子どもたちへ、私たちの国ははっきりとしたメッセージを送りました。ジェンダーなどは関係ありません。野心的な夢を抱き、信念を持って指導者となるのです。そして他の人とは違った見方をするのです。皆さんの一歩一歩を見届けます。アメリカ国民の皆さん、どちらへ投票したかは関係ありません」と語る、米国の副大統領につくことが確実なハリス上院議員の演説には、不覚にも涙腺が緩んでしまった。
西日本新聞(11月11日付)において、「トランプ氏の粗野な言動が繰り返された後に聞く彼女の演説には、包容力を備えた言葉の強さと温かさがあった」と評価するのは、神屋由紀子(こうや・ゆきこ、同紙論説委員)氏。 
氏は、そのすぐ後に「私たちの国は菅義偉政権になり、2人の杉田氏を巡って多様性を考えさせられる問題が起きた」とする。
日本学術会議人事でも強い関与がうかがえる杉田和博官房副長官と、「女性はいくらでもうそをつける」として性暴力被害者が虚偽申告するかのような発言をした自民党の杉田水脈衆院議員をあげ、「これが政権与党の多様性ですか」と皮肉る。
そして「多様性を語るには人々の境遇に想像力を働かせ、異論に耳を傾ける姿勢が肝要だ。ハリス氏のような心に届く言葉を備えた政治家は日本にどれだけいるのだろう」と、慨嘆(がいたん)する。
しかし、あれほどのスピーチができる政治家を生み出した国でさえ、トランプ氏を生み出し、7100万人超が彼を支持した。
我々にできることは、微力ながらも、自らが関与できる場所で、ひとりでも多くの人の心に届く言葉を発し続けること。
「地方の眼力」なめんなよ


本コラムの記事一覧は下記リンクよりご覧下さい。

小松泰信氏のコラム【地方の眼力】

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