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コロナで米価大暴落【森島 賢・正義派の農政論】2021年10月4日

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米価が1年前と比べて約1割下がった。コロナによる外食需要の減退が、主な原因とみられる。まだ下げ止まる気配はない。
売値が1割下がったということは、米の所得率は約3割だから、農業者の所得つまり、経費を差し引いてポケットに残る金額は、3分の1減ったことを意味する。
これは由々しき問題である。これが続けば、米を作る農業者は急激に減ってしまうだろう。
農業者だけの問題ではない。全ての国民にとって、つまり、我が国にとって、由々しき問題である。

コロナで米価大暴落

上の図は、昨2020年産米の価格である。最近(8月)は前年平均と比べて1割以上の下落である。まだまだ下落する状況である。

この状況が続けば、米を作る農業者は急速に減ってしまうだろう。そして今後、米の供給量は激減してしまうだろう。

これは、農業者だけの問題ではない。米が人間の生命を維持するために必要で不可欠な基幹的食糧であることを考えたとき、これは、全国民にとって、つまり国家にとって、国家の存続に関わる深刻な食糧安全保障の問題である。

また、米が日本農業の基幹であることを考えたとき、これは、農業、農村の存続にとって、極めて重大な問題である。農業、農村が存続できなくなったらどうなるか。農村で働く場を失った人は、都市へ行くしかない。それが都市の社会的不安定をもたらすことは、古今東西を問わぬ歴史的経験である。

さらに、自然環境を考えたとき、それは国土の大部分を占める農地と農村の荒廃と、都市の猥雑な過密に直結するだろう。

以上のように、米価の暴落は農業者が困窮する、というだけの問題ではない。社会の全体が考えるべきことである。つまり、政治の問題である。

政治は何をなすべきか。政権選択のための衆議院選挙を間近かに控えたいま、各政党は、米価の暴落を阻止し、反転して上昇させるために、どんな政策を採ればいいか。それを互いに競い合うべきである。そうして、国民の審判を仰ぐべきである。

米価を回復する政策は、いくつかある。

米の輸入を止めればいい。

いま、米が余っているのに、大量の米を輸入している。81万トン、つまり国内需要量の約1割の米を輸入している。これを止めれば、そのぶん国産米の需要量が増えて、米価は回復する。

もしも日本が自由の国だ、と標榜したいのなら、米が不必要なときは、自由に輸入を止めればいい。

つぎの需要拡大策は、備蓄米を増やし、古米になったら家畜の飼料にすることである。

いま、飼料用の穀物の輸入量は1490万トンで、米の国内生産量の約2倍である。つまり、米を飼料にすれば、その需要量は、無限に近い。

もう1つの需要拡大策は、米粉パンや米粉メンの普及である。

いま、パンやメンの原料として、510万トンの小麦を輸入している。米の国内生産量の63%である。これを米粉で代替すれば、米の国内生産量を63%増やすことができる。米価が上がることは間違いない。

アメリカ人がアメリカ産の穀物で作ったアメリカパンを食べているように、また、フランス人がフランス産の穀物で作ったフランスパンを食べているように、日本人も日本産の穀物、つまり米で作った日本パンを食べるようにすればいい。メンも日本産の米で作ればいい。

飼料用の穀物や、パン、メン用の小麦は輸入するほうが安価だ、というのだが、それは、カネに魂を奪われた売国的な市場原理主義者の言い草である。

米の増産は、非常時に備えた備蓄であり、食糧自給率を高めるためである。安いとか高いとか言ってはいられない。ソンかトクか、などという矮小な問題ではない。国家の安全保障の食糧版なのである。

政治は、こうした中長期的な目的を立てて、いまの米価暴落に対処すべきである。

それとともに、いま短期的になすべきことは、米価暴落分の価格補償と、備蓄のための米の政府買い取りである。古米になったときの処理方法は、後で考えてもいい。

野党が想起すべきことは、10年前の総選挙である。野党は米の所得補償制度の創設を、公約の大きな柱にして勝った。

来月に予定されている総選挙で求められている公約は、この制度の拡充を大きな重要公約に据えることである。いくつかの公約のうちの一つ、などという軽いものではない。

(2021.10.04)

(前回  新政府の初閣議

(前々回 資本論の勝手読み

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