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吉川元農水相に有罪判決【小松泰信・地方の眼力】2022年6月1日

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<主文>被告は懲役2年6月、執行猶予4年、追徴金500万円。
鶏卵汚職事件で収賄罪に問われた元農水相、吉川貴盛被告を有罪とした東京地裁判決。

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最低の元農水相

毎日新聞(5月27日付)が報じる判決要旨のポイントはつぎの通り。

<事実認定の補足>では、「被告は職務に関する期待や意図を含めて現金が渡された可能性を認識していた。領収書を作成せず、政治資金収支報告書にも記載せずに費消していることも、政治献金以外の趣旨を含み、秘密裏に扱うべき性質の金銭と理解していたことを裏付けている」とする。

<結論>では、「今回の現金授受は、いずれも賄賂の趣旨が認められ、その故意が認められると判断した」とする。
<量刑理由>では、「賄賂の趣旨は鶏卵行政のみならず、農林水産行政全体を見渡した政策判断が求められる重要事項だ。農相としての職務や農林水産行政全体の公正さに悪影響を及ぼす行為で非常に悪質だ。実際に養鶏業者や国会議員らによる検討会の開催を職員に指示するなどの便宜を図っており、国政における職務の公正さに対する国民の信頼を大きく害した。社会的悪影響も大きい。安易に収賄行為に及び、受け取った現金を全て費消しており、利欲的犯行と言える。農相として高度の倫理性、廉潔性が求められていたのに自覚が欠けていた。政治献金と思ったなどという不合理で、一般的な常識からはかけ離れた弁解に終始し、政治家としての規範意識の低さに対する反省には至っていない」とする。

政治を担う資格なし

「有罪は当然」「執行猶予付きでは軽過ぎるという指摘もある」とするのは、中国新聞(5月27日付)の社説。

吉川元農水相が、「何かを期待されているとは思わず、現金をお礼だとも思わなかった」と弁明したことを、「なぜ理由もなく、自分に現金が渡されるのか。そんなことに疑問を感じない人間に政治を担う資格はない」と指弾し、「農業政策は国の根幹に関わる食料安全保障を踏まえ、補助金で業界を支える役割が大きい。その際には政治と行政には高い倫理性、透明性が求められていることは言うまでもない」とする。

政権における「倫理観の欠如」

西日本新聞(5月28日付)の社説は、判決が500万円の趣旨について、「ストレスの少ない環境で鶏を飼育するための国際基準案に反対するなどの便宜を図った見返りと認定した」ことから、「吉川被告は実際に農政をゆがめていた」とする。

さらに、「今回の判決で、安倍晋三政権の閣僚経験者のうち3人が刑事裁判で有罪となった」ことを、「まさに異常事態だ」とし、「大規模な選挙買収事件で懲役3年の実刑が確定した河井克行元法相は逮捕前『捜査中』を理由に説明を拒んだ。違法寄付で罰金刑が確定した菅原一秀元経済産業相は記者会見しないまま議員辞職した」、「安倍氏も閣僚らの不祥事のたびに『任命責任は私にある』と語っていたが、自ら具体的に何らかの対処をしたり、当事者に説明を求めたりすることはないままだった」ことに言及し、「政権党で続く、こうした身の処し方がモラルハザード(倫理観の欠如)を招いていないか」と迫る。

それが、「森友学園関連の決裁文書改ざん問題を巡り、自殺した近畿財務局元職員の遺族が起こした訴訟を『認諾』という形で終結させた。なりふり構わなくなったようにすら思える。今回の判決についても、政権からは人ごとのような反応しか出てこない」として、岸田文雄政権下でも説明回避が続いていることを問題視する。

最後に、「国民の疑念を招いたならば、丁寧に説明することは政治家として当然であり、政権党こそ自らを厳しく律するべきだ」と訴える。

「行政のトップが利害関係者から現金を受け取るなど、言語道断である。職責の重さを自覚せず、規範意識を欠いていたと言わざるを得ない」で始まるのは読売新聞(5月27日付)の社説。

同紙も、吉川氏が「現金の受領については、その後も有権者への説明責任を果たしていない」ことや、河井、菅原両氏の事件から、「不祥事を起こしても本人や政党が説明しない状況が続いている。安定政権が続くなかで、緩みが生じているのではないか。けじめのない姿勢が政治不信を招いていることを猛省せねばならない」とする。

それで良いのかサントリー

政権のこのような姿勢に批判が噴出するとき、東京新聞(5月28日付)が、「安倍晋三元首相の後援会が『桜を見る会』前日に主催した夕食会で、サントリーホールディングスが2017~19年、計400本近い酒類を無償で提供していた」ことを伝えている。企業の政治家個人への寄付を禁じる政治資金規正法に抵触し、「違法な企業献金に当たる可能性がある」との指摘も出ているそうだ。

同紙によれば、「会場のホテル側が作成した資料に『持ち込み』として酒類の記載があり、同社の電話番号も書かれていた」とのこと。サントリーの広報担当者は、無償提供を認めた上で「安倍議員事務所から多くの方が集まると聞き、製品を知ってもらう機会と考え、夕食会に協賛した」と説明している。

ここでもまた、「安倍氏関連の政治資金収支報告書に同社からの寄付の記載はない」そうだ。

わが家の晩酌メニューからは、サントリーの記載は即刻削除された。

ちなみに、「たとえ要請があっても政治家に無償で製品を提供することはない」(キリンホールディングス)、「お客さまにお金を支払って購入していただくものなので、政治家のパーティーなどに提供することはない」(アサヒグループジャパン)とのこと。

両社が、これからもその姿勢を貫くことを願うばかり。

聞きたい!JAグループの見解を

さて、JAグループの機関誌「日本農業新聞」は、吉川元農水相の有罪判決について、5月27日付の同紙3面で事実関係を淡々と報じた。少なからぬ一般紙が、「農林水産行政全体の公正さに悪影響を及ぼす行為で非常に悪質」な事案を憂い、「社説」を通じて、警鐘を鳴らしているにもかかわらず、今のところ、この業界専門紙から傾聴すべき論説は展開されていない。そして、JAグループやその政治組織「全国農政連」からも、コメントひとつ聞こえてこない。

これからも、「倫理観の欠如」した政権を支持するということか。これじゃいつまでたっても、国民の信頼は得られません。

「地方の眼力」なめんなよ

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