渇水・高温対策本部を設置 水利施設管理強化事業の積極活用を指示 農水省2025年8月1日
農林水産省は7月30日、渇水・高温対策本部を設置し、31日に初会合を開いた。小泉進次郎農相は、渇水対策に関する補助事業を「プッシュ型で働きかけ、積極的に活用すること」を関係部局に指示した。
渇水・高温対策本部で指示を出す小泉農相(左から4人目)
農水省ではこれまで節水対策の本部は設置したことがあったが、「気候変動の影響が顕著」(農水省)なことを踏まえ、渇水・高温対策本部の設置は今回が初めてとなる。
水稲の生育への影響が懸念されるなか、現状の把握と迅速な対応を目的とし、青果や畜産についても「必要に応じて」支援対象とする。
水利施設管理強化事業(今年度より「②渇水・高温対策」枠を追加)
小泉農相からは以下の3点の指示があった。
①国交省や都道府県との連携による渇水・高温に関する情報収集・発信、現場への節水の働きかけや応急ポンプの貸し出しなどを的確に行う。
②今年度開始の新たな補助事業(渇水時のポンプ調達・運転等の諸経費を補助)を、渇水傾向地域に対してプッシュ型で積極的に活用する。
③高温や斑点米カメムシ類による被害防止のため、地方公共団体と連携して技術指導や防除を徹底する。特に斑点米カメムシ類については、一斉防除の追加実施に必要な支援を検討する。
今年度から、水利施設管理強化事業に新たに加わったのは、渇水・高温対策に取り組む農業水利施設を対象に、渇水時のBCP(事業継続計画)の策定や、農業用水確保のためのポンプ調達・設置・運転費用の半額を国庫補助する制度である。
これまでも応急ポンプの貸し出しは行っていたが、購入費用なども補助対象とし、国がプッシュ型で市町村や土地改良区などの農業者団体に働きかける形で支援する。すでに「新潟の一部地域では活用している」とされる。
国土交通省の資料によると、7月28日時点で、北海道、東北、北陸、近畿、中国の14水系17河川で取水制限が実施されており、農業用水の取水や土地改良区による節水が行われている。中国地方整備局は7月14日、東北地方整備局は7月25日に渇水対策本部を設置した。
高温障害については、気象庁が8〜10月の平均気温が全国的に平年より高くなるとの見通しを示しており、「高温耐性品種の種子の増産」などの取り組みを進める。
イネカメムシを含む斑点米カメムシ類については、7月30日現在、全国27道府県で33件の注意報が発表されている。警報はまだ出ていないが、「2回の防除に加え、3回目の防除も検討する」としている。
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