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「女性ゼロ議会」が鳴らす警鐘【小松泰信・地方の眼力】2023年2月8日

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育児や介護などの理由で出席できない議員を想定し、総務省は2月7日、地方議会の本会議で、自治体の活動全体をただす「一般質問」をオンラインで実施するのは可能との見解を初めて公表した。しかし条例制定など議案の採決や、関連質疑は従来通り認めないとのこと。

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必要な地方議会の全面オンライン化

これを受けて東京新聞(2月8日付)は、本会議をめぐって、全面オンライン化を求める声が高まっていることを伝えている。主たる理由としては、感染症流行や大規模災害が起きれば議員が議場に集まるのが難しいこと。これに加えて、議員活動と子育ての両立がしやすくなり、なり手不足の解消につながるとの意見を紹介している。

永野裕子氏(東京都豊島区議、地方議員らでつくる「子育て議員連盟」共同代表)は、総務省の対応は不十分であり、「重要な施策を決める採決にオンラインで加われるよう、さらに検討していくべきだ」と訴えている。

解消すべき「女性ゼロ議会」

共同通信(2月5日6時配信)は、同社の調査に基づき「都道府県と市区町村の全1788地方議会のうち、女性議員がいない『女性ゼロ議会』が2022年11月1日時点で257あり、全体の14.3%を占める」ことを伝えている。2022年11月から23年1月にかけて全地方議会議長へのアンケート調査で、1783議会が回答。無回答の議会については女性議員数などを個別に取材。

女性が1人しかいない議会は437で、「女性ゼロ議会」と合わせると38.8%に上る。全在職議員の女性割合は15.4%、現職議長が女性の議会はわずか4.2%。女性ゼロ議会は市が23、町は164、村は70。市議会全体に占める割合は2.9%だが、町村議会では25.2%に上った。なお、すべての都道府県と区には女性議員がいたが、山梨と熊本では1名のみであった。

4分の1の町村議会に女性議員がいないことには、改めて驚かされる。

「女性ゼロ議会数は年々減少傾向にあるが、均等には程遠い」ことは明白である。

全国平均を上回る九州

西日本新聞(2月5日付)は1面でこの問題を取り上げている。九州7県にある240の県市町村議会のうち、「女性ゼロ議会」は44(18.3%)で全国平均を4ポイント上回っている。内訳は、市議会が6、町議会が27、村議会は11。

女性議員を増やす取り組みを「実施している」と答えた議会は31(12.9%)で、積極的姿勢はうかがえない。具体的回答として、「女性議員の出産のための欠席を議員報酬の減額の適用除外としている」(佐賀県唐津市)、「会議規則を一部改正し、議会への欠席事由に育児、看護、介護等を明記した」(福岡県筑前町)などが紹介されている。さらに女性の政治参画を促す意識啓発活動の一環として「県内の女性議員が任意のグループを設立し、勉強会を実施している」(宮崎市)という事例も示されている。

自分が落選しても議会に女性が加わる価値はある

さらに2面において興味深い取り組みや識者の見解を伝えている。

「男だけで構成された議会なんて異常でしょう」と慨嘆するのは、静岡県下田市議の中村敦氏。ちなみに、1人だけいた女性市議が2015年に引退した後は「女性ゼロ議会」。

「子育てや介護など、女性の方が実情を理解している課題は山積している。女性の視点が欠落した議論では、市の将来は暗くなる」と危機感を覚え、21年7月に現職市議の有志7人で女性や若者の政治参画に関する検討会を結成した。

昨年、60代女性と50代女性が立候補を決断し、中村氏らは選挙の実務に関する助言や激励を続けている。

「たとえ自分が落選しても、議会に女性が加わる価値はある」との言葉から、並々ならぬ覚悟が伝わってくる。

鹿児島県垂水市で2019年、市制施行以来初の女性議員として当選した池田みすず氏は、男性議員があまり足を運ばない子育て支援センターに行くと、市民や職員から「男性には言えない悩みもある」「女性議員がいて良かった」と言われたそうだ。しかし、「垂水市のような小さい街で、女性1人では議会の中で勉強ができない」ため、隣接する鹿屋市の女性市議らと交流を深めているとのこと。「多様な意見を反映するために、垂水市議会にも2人、3人と女性が増えた方がいい」と、ひとりの壁を語っている。

「女性にげたを履かせるのではなく、男性が履いてきた見えないげたを脱がせる意識で臨むべきだ」と訴えるのは、片山善博氏(大正大地域構想研究所長、元鳥取県知事)。

「女性が1人以下の議会が4割を占めるというのは、男女均等の観点からとても十分とは言えない。住民構成と懸け離れた男性や高齢者ばかりの議会は、信頼や期待を失う」として、「(議席の一定数を女性に割り当てる)クオータ制以外に、当選者が固定化しやすい1人区の廃止や、複数の候補者に投票できる制限連記制の導入」など、選挙制度の抜本的改革を提起するのは大山礼子氏(駒沢大教授、政治制度論)。

女性不在の損失は大きい

「身近な政策決定の場で女性の比率が1割台では民意を正確に反映できているとは言えない。女性が目指しやすい地方議会をいかにつくるか改めて問われている」で始まるのは、愛媛新聞(2月7日付)の社説。愛媛県の女性割合は13.9%で、全国平均を1.5ポイント下回る。

「少子高齢化に伴う難題が山積するなか、克服には男性と女性が一緒に知恵を出し合うことが欠かせない。社会の半数を占める女性が不在、もしくは1人の議会でそれが難しいのは明白。女性の経験や視点が生かし切れない損失の大きさをいま一度考えたい」として、「多様な立場を地方議会に広く取り入れていくよう踏み込んだ対応を考えていくべきだ」と指摘する。

JAグループに聞こえるかこの警鐘が

1月24日に開催されたJA全国女性大会で、「農業と地域社会の持続的な発展を実現するには、多彩な能力を持つ女性の力を発揮することが不可欠。農協経営にとっても貴重。役員就任なども期待したい」と挨拶したのは野村哲郎農水相(野中厚副大臣代読)。本当にそう思うなら、2020年度でわずか9%しかいない女性役員の大幅増に向けたJA改革を求めるべきである。今必要なのは、耳にタコの聞き飽きたリップサービスではなく、JAグループ内での女性の権利を確固たるものにする「地位」と「権利」。

「地方の眼力」なめんなよ

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