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【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】国際的な農業保護指標の欠陥~「国産プレミアム」は保護ではない2024年1月18日

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日本農業は過保護だとする議論で使われる指標にOECD(経済協力開発機構)のPSE (生産者保護推定額)があるが、この指標には欠陥がある。

我が国は、国境での価格支持にあたる関税も平均的には低く、国内の価格支持政策も世界に率先してほぼ廃止した。むしろ、他の国々は、EUの介入価格や米国のローンレートのように価格支持を止めていない。しばしば、欧米は価格支持から直接支払いに転換した、つまり、「価格支持→直接支払い」と表現されるが、実際には、「価格支持+直接支払い」の方が正確だ。価格支持の水準を引き下げた分を、直接支払いに置き換えているのだ。我が国は、まず、価格支持を廃止して、しかし、直接支払いは模索段階という感があり、諸外国に比べて、保護水準が低い市場になっているのではないか。

しかし、OECD(経済協力開発機構)のPSE(生産者保護推定額)の指標は我が国の農業には5兆円もの保護があり、しかも、その90%以上が市場価格支持(MPS)に依存するという結果になっており、不思議なことだ。
この原因は、内外価格差に基づくPSEが輸送費と関税で説明できない価格差(我が国はこの部分が多い)を、すべて「非関税障壁」として、保護額に算入しているからだ。「消費者の評価の差を考慮すれば、我が国の食料は高くない」ことは、日本の人々も、うっかり勘違いしている。

例えば、スーパーで国産のネギ一束が158円、外国産が100円で並べて販売されている場合、これを、「158円の国産ネギに対して外国産が58円安いとき、日本の消費者はどちらを買っても同等と判断している」と解釈すると、この58円分が国産ネギへの消費者の評価であり、生産者の品質向上努力の結果であって、保護の結果ではない。しかし、PSEには、この58円が「非関税障壁」として保護額に算入されてしまう。

この58円の差は保護の結果ではない。見かけ上は品質の優劣が明確ではなくても、日本の消費者は一般に産地に対して敏感で、輸入品が安くても、安全性に対する漠然とした不安感も含めて、国産品を好んで選ぶ場合が多々ある。つまり、「国産」の農産物には、一種の「ブランド力」が発生する場合がある。

ブランド力とは、品質に対する消費者の信頼感と密接な関係がある。これは、日本の農家等の品質改善努力を含めた様々な経営努力の結果であるということに、多くの人が首肯してくれるのではないだろうか。したがって、もし関税や非関税障壁がなくなっても、ある程度残る価格差と考えられる。これは決して不公正な非関税障壁ではない。そこで、これを、ここでは「国産プレミアム」と呼ぶことにしたい。

この事例のように、内外価格差が「国産プレミアム」によって生じているとすれば、PSE指標の単純な内外価格比較によって農業保護水準が高いとか、不公正な非関税障壁が多いと言うことはできなくなる。PSE指標の活用には十分な注意が必要である。

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