【JCA週報】世界史の大きなうねりの中で #5(三輪昌男)(2002)2024年2月5日
「JCA週報」は、日本協同組合連携機構(JCA)(会長山野徹JA全中代表理事会長、副会長土屋敏夫日本生協連代表会長)が協同組合について考える資料として発信するコーナーです。
今回は、当機構の前身である協同組合経営研究所が発行した「協同組合経営研究月報」2002年6月号に、三輪昌男氏が執筆された「世界史の大きなうねりの中で」です。
ボリュームの関係から複数回に分けて掲載いたします。途中で他の掲載を挟んだ場合はご容赦ください。
世界史の大きなうねりの中で #5/全6回(2002)
三輪昌男(國學院大學・名誉教授)
(連載 21世紀における協同組合の意義と課題 第1回)
2001.9.11以降(#1)
ICAソウル総会(#2)
第三世界の声(#3)
1999年末シアトル(#3)
ポルトアレグレ集会(#4)
別のダボス(#4)
新自由主義(#5、#6)
狂気の時代の正気の島(#6)
新自由主義
NGOの新しい潮流が対抗する新自由主義のグローバル化。その新自由主義に注目しよう。
それは,強いことを,優勝劣敗=弱者切捨てを,強きを助け弱きを挫くことを,善とする社会思想である。
9.11テロ事件以降の米国政権の,敵を力で捩じ伏せる姿勢,独善の態度,それはまさに新自由主義の表れである。
米国流をグローバル・スタンダードとして世界諸国に押し付けるのは,その経済面の一つの表れである。
世界的大企業が,自由に行動できるよう推進する国境の除去,グローバル化は,まさに新自由主義である。
新自由主義のグローバル化は,当然に各国内での新自由主義の横行をもたらす。日本において,そうである。
*
日本経済は長期不況のあげく,デフレスパイラルに陥った。その打開の道として,現政権は,「痛み」に耐える必要を国民に説きながら「聖域なき構造改革」を唱え,「骨太の方針」を示している。
改革・方針の出発点に置かれているのは,大銀行の不良債権の解消である。それによる融資の円滑化,民間投資の活性化が不況打開の決め手だ,と。それへの取組みとして誰にも見えるのは,次のような動きである。
「貸し渋り」どころか「貸し剥がし」が進み,中小企業が打ちのめされる。中小企業を基盤とする信金・信組など中小金融機関の破綻が相次ぐ。
一方,ゼネコン大手・流通大手などの,苦境に陥った大企業は,大銀行の巨額の「債権放棄」によって救済される。大銀行は,超低金利政策の恩恵を大きく享受し,公的資金による資本注入の面倒までみてもらう。にもかかわらず,大銀行が痛みに耐えている姿は全く見えない(債権放棄は当然で痛みに入らない)。
強きを助け弱きを挫く,新自由主義が見事に貫いている。
(続く)
重要な記事
最新の記事
-
死亡野鳥の陰性を確認 高病原性鳥インフル2025年10月16日
-
戦前戦後の髪型の変化と床屋、パーマ屋さん【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第360回2025年10月16日
-
東京都産一級農畜産物の品評会「第54回東京都農業祭」開催 JA全中2025年10月16日
-
稲わらを石灰処理後に高密度化 CaPPAプロセスを開発 農研機構2025年10月16日
-
「NIPPON FOOD SHIFT FES.」に出展へ 井関農機2025年10月16日
-
宅配商品の試食販売・交流「商品展示会」26日に開催 パルシステム千葉2025年10月16日
-
世界規模のフード・アグリカンファレンス「WAFI 2025」で最高賞 AGRIST2025年10月16日
-
国・世界と現場の実践が交わる、日本農業のこれから「GAP JAPAN 2025」開催 日本GAP協会2025年10月16日
-
ワンランク上の洋食に「ハンバーグソース デミグラス」新発売 サイボク2025年10月16日
-
ダブルプレスジュース「Vicca」に新プラン登場 青木フルーツ2025年10月16日
-
「罪悪感なき時短」「ゆるやかな食卓革命」明らかに『お料理セット』利用者調査 パルシステム2025年10月16日
-
【2025国際協同組合年】「協同組合っていいかも!」 若い世代へ発信を 連続シンポ第6回2025年10月15日
-
イネカメムシをムシヒキアブが捕食 「天敵」防除に可能性 有機農研シンポで報告2025年10月15日
-
平成の大合併と地方自治【小松泰信・地方の眼力】2025年10月15日
-
公開シンポ「わが国の農業の将来を考える」11月1日開催 日本農学アカデミー2025年10月15日
-
令和7年度加工食品CFP算定ロールモデル創出へ モデル事業の参加企業を決定 農水省2025年10月15日
-
西崎幸広氏ら元プロ野球選手が指導「JA全農WCBF少年野球教室」草津市で開催2025年10月15日
-
元卓球日本代表・石川佳純が全国を巡る卓球教室 三重で開催 JA全農2025年10月15日
-
新米など新潟県特産品が「お客様送料負担なし」キャンペーン実施中 JAタウン2025年10月15日
-
秋元真夏の「ゆるふわたいむ」マロンゴールドで鹿児島の郷土料理「がね」を調理 JAタウン2025年10月15日