シンとんぼ(104) -みどりの食料システム戦略対応 現場はどう動くべきか(14)-2024年8月3日
シンとんぼは令和3年5月12日に公表された「みどりの食料システム戦略」をきっかけに始まり、みどり戦略の大義である「安全な食糧を安定的に確保する」を実現するために、現場は何をすべきなのかを、同戦略のKPIとその有効性や今後の農業に与える影響などをひととおり検証しながら考察を加えてきた。そして行きついたシンとんぼなりの結論が、現在ある技術を正しく活用すれば、新たな技術開発やイノベーションを待たずとも、みどり戦略の大義は達成可能だろうということだった。そこで、みどり戦略対応のために農業現場はどう動くべきなのかの持論を展開しており、現在は有機農業の取組面積拡大をテーマに、有機農業拡大に関するKPIを実現するための「次世代有機農業に関する技術」のうち、前回、前々回と2040~2050年までに確立するとしている技術の1つである「⑧先端的な物理的手法や生物学的手法を駆使した害虫防除技術」のうち、「青色半導体レーザー光」を利用した技術を紹介した。今回は、もう一つの柱の「生物学的手法を駆使した害虫防除技術」を検証してみる。
みどり戦略での新技術紹介資料によると、生物学的手法とは「共生生物を利用した害虫防除技術」と紹介されている。この技術は、害虫の細胞の中に共生している微生物を防除に活用しようというものだ。害虫の細胞の中には様々な共生微生物が生存しており、それらは害虫の生存と関係しており、その関係の仕方は3つに分けられるという。1つ目が害虫の生存に悪影響を及ぼすもの、2つ目が害虫の生存に必須ではないが何らかの利益を与えているもの、3つ目が害虫の生存に必須となるものの3つである。これらがどのようにして害虫防除に役立てられるかというと、1つ目の微生物は害虫の生存に悪影響を与えるので、害虫の体中の細胞にこの微生物を蔓延させれば害虫の生存を危うくできるし、3つ目であれば害虫の生存にとって必須であるので、その必須の微生物を取り除いてやれば良いことになる。害虫防除ということからすれば、1つ目の働きを強化することが近道なような気がする。3つ目は細胞内の微生物をどうやって取り除くかがかなり難しいことになりそうだ。といっても、イメージが沸かないので次回以降、共生生物を利用した害虫防除技術の具体的な方法を検証してみようと思う。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(159)-食料・農業・農村基本計画(1)-2025年9月13日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(76)【防除学習帖】第315回2025年9月13日
-
農薬の正しい使い方(49)【今さら聞けない営農情報】第315回2025年9月13日
-
【人事異動】JA全中(10月1日付)2025年9月12日
-
【注意報】野菜類、花き類、豆類にハスモンヨトウ 県内全域で多発のおそれ 兵庫県2025年9月12日
-
【注意報】果樹カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 佐賀県2025年9月12日
-
【石破退陣に思う】農政も思い切りやってほしかった 立憲民主党農林漁業再生本部顧問・篠原孝衆議院議員2025年9月12日
-
【石破首相退陣に思う】破られた新しい政治への期待 国民民主党 舟山康江参議院議員2025年9月12日
-
【石破退陣に思う】農政でも「らしさ」出しきれず 衆議院農水委員会委員・やはた愛衆議院議員(れいわ新選組)2025年9月12日
-
ドローン映像解析とロボットトラクタで実証実験 労働時間削減と効率化を確認 JA帯広かわにし2025年9月12日
-
スマート農業の実践と課題を共有 音更町で研修会に150名参加2025年9月12日
-
【地域を診る】個性を生かした地域づくり 長野県栄村・高橋彦芳元村長の実践から学ぶ 京都橘大学学長 岡田知弘氏2025年9月12日
-
(452)「決定疲れ」の中での選択【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年9月12日
-
秋の味覚「やまが和栗」出荷開始 JA鹿本2025年9月12日
-
「令和7年台風第15号」農業経営収入保険の支払い期限を延長 NOSAI全国連2025年9月12日
-
成長軌道の豆乳市場「豆乳の日」前に説明会を実施 日本豆乳協会2025年9月12日
-
スマート農園を社会実装「品川ソーシャルイノベーションアクセラレーター」に採択 OYASAI2025年9月12日
-
ご当地チューハイ「寶CRAFT」<大阪泉北レモン>新発売 宝酒造2025年9月12日
-
「卵フェスin池袋2025」食べ放題チケット最終販売開始 日本たまごかけごはん研究所2025年9月12日
-
「日本酒イベントカレンダー 2025年9月版」発表 日本酒造組合中央会2025年9月12日