ギャルの掟【森島 賢・正義派の農政論】2025年2月10日
NHKの朝ドラが、いま「おむすび」という題名で、ギャルの生きざまを放映している。主人公は「結」という名前である。だから、題名が「おむすび」なのだろう。
この主人公の名前は、農村共同体の中枢組織である「結(ゆい)」を想起させる。
ギャルの語源はgirlである。10台後半~20台前半の少女たちで、明るい衣装をまとって人目をひき、強めのメークアップで自己主張をしている少女たちをいうようだ。
このいわば正規のギャルの他に、子ギャルや元ギャルがいる。そして、ギャル語もあるし、ギャル文字もあって、1つの文化を共有している。そして、つぎの世代へ継承している。
ネットをみると、大人たちの評価は、あまり高くない。軽薄だ、といっている。
だが、朝ドラでみたところは違う。ギャルたちは、大人たちの低い評価のなかで、たおやかに、しかし、強く逞しく、青春の日々を謳歌している。
筆者のような老人からみると、眩しいほどの鮮烈さである。
大人たちは、軽薄だ、などと言わないで、もう少し高く評価してもいいのではないか。
ギャルには、3つの掟がある。

上の図で示した3か条が、ギャルの掟である。NHKの朝ドラで放映したものを借用した。これを、筆者が無断で勝手に修正して、掟らしく語調を整えると、次のようになる。
第1条 仲間に呼ばれたら、すぐ駆けつけろ。
第2条 ひと(他人)の目を気にするな。自分を貫け。
第3条 ダサイことはするな。死んでもするな。
◇
この第1条は、共同体の基本理念である。難題が起きたら、仲間が皆んな集まって、皆んなで決めて、皆んなで実行する。そうして難題に対処する、というもので、これは、民主主義の基本である。そしてこれは、農協の基本理念でもある。
第2条は、自分の判断で、自由に行動する、というものである。これは、自己実現の自由を謳ったもので、自由主義の基本である。そしてこれも、農協の基本理念である。
第3条は、正義を最高の規範にすることを、死の覚悟を込めて、高らかに宣言したものである。その決意の強さは、目力の強いメイクに表れている。そしてこれも、農協の基本理念である。
◇
この掟をみていると、これは、日本社会の掟の原型であることを、改めて認識させられる。
この原型は、農村共同体に起源があり、そして今でも、町内会など都市の共同体に引き継がれている。
それだけではない。近代的といわれる企業のなかにも、こうした掟が深く根付いている。
◇
以上で分かるように、ギャルたちは、決して軽薄ではない。ギャルたちは、真の民主主義と、真の自由主義と、真の正義を掟、つまり、行動の最高規範にしている。
そうしてギャルたちは、清く正しく美しく、そして強く逞しく、少女期のはじけるような青春の日々を楽しんでいる。
これは、軽薄だ、などといっている大人たちに対する痛烈な批判でもある。
ダサイ大人たちは反省して、この掟を行動規範にすべきだろう。
◇
こうしたギャルたちや、子ギャルたちや、元ギャルたちが、20~30年後には、社会の中核に位置することになる。そうなれば、日本社会も、ずいぶん変わるだろう。真の民主と真の自由に支えられた真の正義が、大道を堂々とまかり通る社会が到来するに違いない。
農協も、そうしたギャルたちが、組合員の大多数を占めることになるだろう。
日本の未来は明るい。その日が来るのが、楽しみである。
(2025.02.10)
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