シンとんぼ(129)-改正食料・農業・農村基本法(15)-2025年2月15日
シンとんぼには農業の持続的発展と食料の安定供給への切なる思いがあり、この思いが一日でも早く実現されることを願いながら、今後の農業を占う様々な事項についてして持論を展開している。現在、2024年6月に改正された食料・農業・農村基本法をしっかりと学び、同法を理解した上で農業関係者が何をしなければならないのかを思案を巡らせている。実際の具体的な内容については来年3月に出される予定の「食料・農業・農村基本計画」で明らかとなるだろうから、詳細の検討は後に行うこととし、まずは改正法から国の考え方の方向性を探っていこうと思い、条文の理解を進めている。
今回は第九条を掘り下げてみようと思う。この条文も旧法の第八条が第九条に変わっただけでその内容に変化はなく、地方公共団体の責務がテーマとなっている。条文には「地方公共団体は、基本理念にのっとり、食料、農業及び農村に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、その地方公共団体の区域の自然的経済的社会的諸条件に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。」とある。
この条文は、食料・農業・農村基本法の基本理念を実現するために、地方公共団体には各々の地域の自然環境の現状、地域経済の状況、地域社会の現状など、管轄地域における様々な条件に合わせた施策を策定して、それを確実に実行する義務があるからしっかりやりなさいと国が指示していることと同義だろう。
前回の第八条と今回の第九条の流れを読み取ると、国の責務で「基本理念にのっとった食料・農業及び農村に関する施策(予算措置)を策定」し、地方公共団体が、「国が策定した施策(予算措置)をうまく使って地域にあった実行施策を作成して実施する」ことになる。
心配しているのは、国は予算措置を作るのみで、実際の実行は地方公共団体に丸投げされ、万が一施策がうまくいかなかった場合は、「国はきちんと施策を提示したもの、地方公共団体がそれをうまく活用できなかった。」ということにならないかということである。
新法では、そんな心配も取り越し苦労に終わり、正しく予算が活用できるよう、国はしっかりと地域での使いやすさを最優先にした施策を提案し、それを受けた地方公共団体は現場で実効性のあがる具体策を策定して農業・農村が発展できることを願っている。
これも基本計画にどのような現状に合わせた具体策が盛り込まれるのが重要なので、責任をもって実効性のあがる具体策が盛り込まれることを期待したい。
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