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調子にノリノリシンジロウ 【小松泰信・地方の眼力】2025年6月18日

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小泉進次郎農林水産大臣は6月16日、米の出来を表す指標となる「作況指数」の公表を2025年産から廃止すると発表。

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廃止される作況指数

 作況指数について日本農業新聞(6月17日付)は、「米の作柄の良否を示す指標で、1956年から国が公表する。水稲を作付けた圃場から8000筆を無作為に選定し、農水省の職員や専門調査員による実測調査でその年の10アール当たり平均収量を算出。直近30年のトレンドから算定する平年収量と比較して指数を計算」と説明している。その指数によって、不良、やや不良、平年並み、やや良、良、の5段階で表されてきた。
 2024年の全国の作況指数は101の平年並みで、農水省は新米が出回る秋になればコメ不足はなくなると説明していた。しかし小売店の棚からは消え、価格は高止まり。同省によれば、作況指数は廃止するが、コメの収量を把握するためのサンプル調査は続ける。その際、1.7ミリ以上の玄米を主食用とみなす基準を、多くの農家が使う1.8~1.9ミリのふるい目による選別に変更するとのこと。さらに、人工衛星のデータの活用や、大規模農家の収穫データを直接入手することも検討するという。

放置されてきた現場の違和感

 新潟日報(6月18日付)の社説は、「1956年から約70年間続く指数を廃止する衝撃は大きい」とした上で、「現場の違和感を放置し、実態に向き合わずにきたことがコメ高騰を招いた一因にあるのではないか。国が主食の収穫量を正しく把握できていなかったとすれば、深刻な問題である」と厳しく迫る。
 そして実態とずれる4要因をつぎのよう整序し、実態に合った見直しを丁寧にすすめることを求めている。
①作況指数はあくまで水田10アール当たりのコメの出来具合。同じ指数でも、前年より全国の作付面積が減るなどの要因があれば全体の収穫量も連動して減る
②専門家の分析では、調査に当たる人員やサンプル数の少なさが精度低下を招いている
③農水省は主食に回る玄米を1.7ミリのふるいにかけて収量を把握してきたが、生産者はより目が粗い1.8~1.9ミリを使うため、農水省の方法では主食に回る量を多く見積もることになる
④気候変動により、「玄米の中身がすかすかで、精米すると量が少なくなってしまう」との訴えが卸売業者などから上がっている

指数の廃止では片づかない

 日本農業新聞(6月17日付)によれば、すでに流通業者から、需給動向の判断材料としていた作況指数がなくなれば、「当年産米などをどう売買するかといった経営方針が立てにくくなる」との声が上がっている。
 小川真如氏(宇都宮大助教)は「米需給が不安定な今、混乱が大きくなる懸念は大きい。収穫量調査の内容がどう変わるのか固まっていない中、指標だけがなくなるとなれば、不透明感は強まる一方だ。(中略)今後は猛暑などの異常気象の頻発化が予想される中、むしろ重要になるはずだ。(中略)米の需給を考える上で中長期的な展望は不可欠で、長期的なトレンドを反映した作況指数は必要だ」とコメントを寄せている。
 信濃毎日新聞(6月18日付)の社説は、「長年使ってきた指標のいきなりの廃止決定は、やや性急ではないか。今後は前年との比較で示すという。過去のデータと比較できる連続性の確保といった課題も出てくるのではないか」と問題点を指摘し、「重要なのは、同省が需給動向を見誤り、結果として高騰の長期化を許した原因を解明し、今後の安定供給につなげること」として、「指標の廃止で片づく問題ではない」と指弾する。
 加えて、今後も、「予想収穫量の調査は続け、デジタル技術で精度の向上を目指す」のであれば、「気候変動の現実を反映した手法を早急に構築」することを求めている。

生活者は見抜いている

 毎日新聞(6月18日付)の読者投稿「みんなの広場」の3編は、すべて米問題。秀逸な内容に脱帽。
 「店先に山積みされる米の袋に長蛇の列。そして『買えてありがたい』と喜ぶ人々。連日の備蓄米をめぐる報道を目にする度、違和感を覚えてしまう。(中略)小泉進次郎農相はさらに2020年産の古古古古米も放出すると息巻いている。(中略)メディアもまるで英雄のような扱いだ。(中略)そもそも備蓄米は政府が税金で購入し、緊急時のために保管していたものだ。放出は農政の失策が招いた事態なのに、飼料米寸前の古い米をまた消費税を払って買わされるのは、たとえ安くても納得がいかない」(大阪府・主婦)
 「政府が備蓄米20万トンを追加放出すると発表したが、一時しのぎにしか思えない。備蓄米の適正水準は100万トンとされているが、約10万トンに縮小する。在庫が1割しかないというのも異常事態ではないか。備蓄米は災害や不作、価格の高騰といった、もしもの事態に備えて、国が計画的に保有する米だ。米騒動は一過性のものではなく今後も続くだろう。(中略)単に米を増やすと言っても、耕作者がいないと絵に描いた餅だ。(中略)米作りは簡単なことではない。政府は目先のことより、今後の農業政策を考えるべきだ。いずれ日本人の主食は米でなくなる時期が来る」(広島県・会社員)
 「『令和小泉劇場』で上演中の喜劇『備蓄米放出』は、選挙目的で味の悪い米を安売りさせる政治家の話で、展開は速いが大ざっぱで説得力に乏しい芝居だ。(中略)農家の苦境は棚上げ、減反政策への反省も皆無だ。こういう問題に目をつぶり『安く買えた』と喜んでばかりいる登場人物には感情移入できない。『経済再生劇場』でも『日米関税交渉』が上演中だが、(中略)大臣も官僚も自動車産業を守るため武器や農産物を大量購入するつもりらしいが、それを言ったら身もふたもない。二つの芝居に共通するのは輸入米。(中略)見え透いた芝居にまんまと乗せられるか。次の選挙が試金石だ」(東京都・主夫)

シンジロウがすべきこと

 当コラムは、作況指数の廃止を、令和の米騒動に関わるひとつの「トカゲの尻尾切り」と位置付けている。17日農林水産省は、米の集荷や販売を行う全7万事業者を対象に、米の流通実態を把握するための調査を始めると発表したが、これもその延長線上にある。今般の米騒動の責任は政権与党にある。犯人が犯人探しをしていることに生活者は気づいている。シンジロウ、貴殿も犯人グループの一幹部。今すべきことは、積年の失敗農政を謙虚に総括すること。さもなくば退場。

 「地方の眼力」なめんなよ

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