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造花が増加【花づくりの現場から 宇田明】第64回2025年7月17日

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花の消費が減り続けています。
その一因として、前回は生け花人口の減少をとりあげました。
今回は、まるで親父ギャグのようですが、「造花が増加」の現状を考えます。

花コラム64写真(宇田)

写真はある一流ホテルのロビーに飾られていた切り花です。
猛暑の季節、定番のヒマワリ。
切り花が飾られていると、つい顔を近づけて匂いを嗅ぎ、触ってみるのが人間の性(さが)。
触ってみて、やっとそれが造花と気づきました。
花にあまり慣れていない人なら、触っても生花か造花か迷うでしょう。
最近の造花は、それほどまでに品質が向上しているのです。

かつて造花は「香港フラワー」とよばれ、いかにも偽物といった安っぽいプラスティック製が主流でした。
しかし今では、一流ホテルのロビーに飾ってもまったく違和感がなく、生花と区別がつかないほどの高品質に進化しています。
結婚式で新婦が持つブライダルブーケにも、造花が使われるケースが増えています。
そして、名称も偽物を連想させる「造花」ではなく、「アーティフィシャルフラワー」とよばれています。

なぜ、一般家庭はいうにおよばず、格式を重んじるホテルやレストラン、一生の思い出となるブライダルブーケにまで造花が使われるようになったのでしょうか。
その理由として、次のようなことが考えられます。

〇経済性
あらゆる場面でコスト削減、経済性が重視される現在において、生花よりも総合的に安価な造花が選ばれるのは時代の流れかもしれません。
〇メンテナンス・フリー
生花のような水替えや茎の切り戻し、落ちた花びらの掃除などの手入れが不要。鉢植えなら水やりや日光に当てるなどの管理が必要ありません。
〇耐久性
生花は1週間から10日間ほどで生け替えが必要ですが、造花なら季節ごとの取り換えですみます。
観葉植物の鉢植えなら、半永久的に使い続けることもできます。
〇安定供給・安定価格
生花は季節や時期により生産量と価格が大きく変動しますが、造花はいつでも決まった価格で入手できます。
〇組み合わせ・デザインが自由
造花なら季節に関係なく、どんな花でも入手できます。夏の花と冬の花を組み合わせることも可能です。
また、茎の部分に針金が入っているので、生花では不可能な角度に曲げることができます。例えば、ヒマワリは、通常の花束には上を向いて咲く品種がつかわれますが、写真のようなロビーに飾るような場合には横向きの特別な品種が必要です。造花なら、デザインに応じて自由に花の向きを変えることができます。

これらの造花の利点は、すなわち生花の弱点であり、また生花ならではの特性でもあります。
しかし、花業界が生花の風情や儚(はかな)さをいくら説いても、残念ながらすでに消費者の心に響かなくなっているのが現状です。
それは、日本人の感性が変わってしまったからです。
多くの女性が生け花を習っていた時代には、生けた花の手入れや取り扱いの技術とともに、切り花のもつ風情や儚さをも学んでいました。
「生き物はいずれ消え去るから価値がある。いつまでも枯れない造花はあくまで作り物で、下品」
そんな日本人の感性は失われ、その結果、造花が容認されるようになったと考えられます。

では、既存の花屋はどのように対応すればよいのでしょうか。
生花の販売だけで経営を継続できるのか。
あるいは、生花とともに造花も販売すべきなのか。
花屋が造花を販売することで、ますます生花の消費が減り、花産業の衰退をいっそう早めるのではないか。

現状を打破し、花産業が持続的に発展していくためには、多角的な視点と柔軟な発想を持つ必要があります。
現代社会において、利便性や経済性はきわめて重要な要素です。
しかし、生命の尊さや季節の移ろいを感じさせる生花のもつ唯一無二の価値は、決して失われるものではありません。
造花の増加という現実を受け止めつつ、生花のもつ本質的な価値を、消費者に響く形で伝えていく努力が花産業に求められています。

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