【今川直人・農協の核心】全中再興(6)2025年9月16日
III.教育は組織の礎
①学園と共に活況
中央協同組合学園の設立(1969年9月)の前後、教育部の役職員教育・組合員教育の充実と協同組合理論研究の外延的拡大が進んだ。
役職員教育では役職員教育マニュアルや営農指導、経済事業などの教材開発、OJTを含む教育技法の都道府県中央会との試技・導入などのほか、特徴ある農協を題材とする事例集作成による現地研究会(年2農協)、代表組合長研修や新任役員研修の開催など、それまで見られなかった活況を呈した。
組合員教育及び協同組合理論研究分野では、まず、組合員教育マニュアルを作成し、機会(事業・実務・行事・研修)、内容、対象の階層に応じた教育などを体系づけた。農業高校用副読本の配布、学者・研究者を対象とした研究表彰・奨励などは現在に引き継がれている。
②北海道農協を支える教育事業
中央学園の養成教育は2000年3月に終了した。養成教育は北海道農業協同組合学校だけになった。以下は、ある農協の、同校における新採用職員研修を紹介する一文である。
「JAと北海道農業、コンプライアンスの基本、各事業論についてなどの、JA職員としての基礎知識を深めるため、5日間の研修を受けていただきます。他のJA職員も参加するため、同期職員との交流を図ることもできます」
令和7年は4回(ほぼ地区別)に分けて4日間の日程で実施している。上記農協では植え付け時及び収穫時各3日間、青年部リーダー(将来の農協リーダー)のところで農業実習を行っている。
IV.現状変革につながる硬性の事業
全中の一般社団移行時に全国農業会議所と経団連が屡々引き合いに出された。両団体の主要事業と特徴を抽出する。
農業委員会は市町村長から独立した行政委員会として、公平、中立に事務を実施することとされている。これが全国農業会議所の存立基盤である。農業政策についての建議、提案、要望、諮問への答申の『意見具申』が「独立」の一つの証しであるが、『農地等の利用の最適化の推進』すなわち政策の推進が基本的任務である。この2項が必須事務とされ、『農業経営の合理化』と『調査及び情報提供』が任意事務となっている。この任意事務が会議所の仕事を特徴づけている。農地売買価格や料金・労賃調査は不可欠の情報である。農業経営者組織育成、農業技術検定試験も堅実な事業である。
経団連については次の2点を注目したい。まず、内外の広範な重要課題について、経済界の意見を取りまとめ、着実かつ迅速な実現を働きかけることを第一にしている。そのため、内部に70を超える委員会を設置(常設。二つは農業関連)し、現状・課題・解決の方向などを検討していて、必要な時に意見表明する。また、シンクタンクを持ち対外活動も活発である。二点目は、会員企業に対する「企業行動憲章」の堅守の働きかけである。国際競争の激化の中で国内企業に対する国民の好感度を高める活動である。
「企業行動憲章」の精神は「フィランゾロフィー」につながる。農業の景観・環境保全、水源涵養における役割の主張やイメージ広告では『農協』のインパクトが弱い。国民が信頼を寄せ、組合員が結集できる「社会貢献」が真剣に検討されることを期待したい。
本紙の「JAの安心・安全な24年産米調査」(2025年8月25日付)は、貴重な全農協調査である。25年及び29年産見込みも徴している今年度調査は、騒動の真相(商魂と報道)を触れずして明らかにしている。また、米価高騰に関して本紙に関係者の見識ある意見が寄せられている。農協がどのような役割を果たすか、国民は高い関心を持って見守っている。
具体的活動の支援につながる事業にしっかり取り組むこと、重要な方針の決定において、信念を持って将来方向を構成員に示すこと、指導機関の役割はこの二つである。
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