JA支援に要員再配置 農林中金が次期中計で2018年11月29日
農林中央金庫の奥和登理事長は11月21日の記者会見で現在検討中の2019年から5ヵ年の次期中期経営計画の概略を明らかにした。AIなどを活用して業務プロセスを見直し600名程度の要員を捻出してJAの業務改革の支援や、資金運用のための海外拠点などへ再配置する考えを示した。
次期中期経営計画の最終年の2023年に農林中央金庫は100周年を迎える。
奥理事長は「ますます予断を許さない事業環境が続く。この先、5年間の取り組みが農林中金、JAバンク、JAグループの将来を決するという強い危機感を持っている」と強調した。そのうえでスローガンとして、▽環境変化に逡巡することなくこれを追い風にして行動する、▽新しい価値に向けて常に創造している組織、▽業務を常に見直し誰のためにどのような価値を提供しているかを全員で問いかけるような組織運営、の3つを掲げる。
現行の中期計画の基本方針で掲げた「農林水産業と食と地域とくらしを支えるリーディングバンク」とのめざす姿は変わらず、より目に見える具体的な積み上げが次の5年では問われているとの認識を示した。
分野別の方針のうち、「食農ビジネス」は、金融サービスだけでなくコンサル機能も含めて農業者を支えることや、食品企業と農業者をつなぐ取り組みにも力を入れる。また、アジアへの輸出、国内インバウンド対応の両面で、アジアの成長を取り込むほか、全農のスマート農業などの取り組みなどを金融面からサポートする。
「リテールビジネス」ではJAが総合事業機能を十分に発揮するよう、営農相談機能を強化して農業融資を中心として金融仲介機能を果たす。また、店舗、ATMの再構築によるローコストで効率的運営に努める。ライフプランサポートにも取り組み、JAバンクでは組合員利用者に最適な共済商品、資産運用商品などの提供も行う。
「グローバル投資ビジネス」では金利変動に強いプロジェクトファイナンス(事業への融資)などの資産の積み上げとそのための海外拠点づくりや海外人材の充実のほか、投資家に投資機会を提供するビジネスも展開するという。
また、経営管理部門では本店の間接部門やグループ会社でAI活用などで業務プロセスを見直して「全体で600名程度の要員を捻出」、その要員をJAの業務改革支援や、海外でのプロジェクトファイナンスなどに再配置する考えも明らかにした。奥理事長は「全員で生産性を上げて、出てきた余力をたとえばJAの店舗再配置や効率運営、貸し出しの円滑化など業務改革に資する場に人材を置く」などの方向性を示し、「極力、前倒しで取り組みたい」と話した。
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