アグリビジネス投資育成 出資件数増から農業法人「育成」への支援を重視へ2022年12月23日
主に農業法人の経営・事業を支援している「アグリビジネス投資育成(株)」(アグリ社)は、今後の出資の進め方について、出資件数の増加を重視しがちだった側面を見直し、JAバンクとの連携を強化しながら法人の育成支援を強化する方針を打ち出した。12月19日に農林中金などが全国の県信連やJA職員を対象に開いたオンライン説明会で、見直しの内容が説明された。
同社は、日本政策金融公庫や農林中金などを主な株主として2002年10月に設立。2021年度までに農業法人向けへの累計投資は631件、107億円に上り、国内最大規模の農林漁業ファンドとなっている。
説明会では、アグリ社は、これまでJAグループの自己改革の波の中で出資件数の増加が大きな目標となり、育成面の取り組みが限定的になりがちな側面があったとして、今後の出資の進め方について必要な見直しを行うとともに、JAバンクと連携を強化しながら、投資・育成両面での役割を発揮したいとの方針が示された。
具体的には、これまでは出資期限10年(一部15年)を迎えると原則として買戻しをしていたが、必ずしも担い手の成長が十分でないケースや長期的な関係を構築したい相手先もあることから、一定の基準を満たせば出資期限を超えて継続保有することを検討する。また、アグリ社を紹介後の県域(JA、信連)のフォローが不十分だった点を見直し、出資先の定期的な業況確認を県域の役割として明確化して成長を支援する。
担当者はアグリ社の活用について、出資は多くの農業法人が課題として抱える「財務基盤強化」と「資金調達」を同時に実現できる有効なツールであることを踏まえ、推進を呼びかけた。
また、説明会では、優良事例として新潟県信連の取り組みが紹介された。同信連の担当者は、地域の重要な担い手でありながら管内JAと疎遠だったある法人への定期的な訪問を重ねるうち、直売所建設で大きな資金ニーズが生じたのを機にアグリ社のファンドを紹介し、申し込みにいたったと説明。その後、関係が深まり、今年夏の新潟県北部の豪雨災害の際、被災した同法人に管内JAの災害資金を利用するよう働きかけ、管内JAとの初取引にいたったと報告した。
最後にアグリ社の松本恭幸取締役代表執行役が挨拶し、「これまでは農業法人への投資に首尾一貫性を欠いたものもみられたが、これからは規模の大小を問わず、能力や意欲のある農業法人の成長にきちんと役に立つ資金を供給し、ぜひ前広に取り組んでいきたい。系統団体のみなさんや食のバリューチェーン企業との協業の機会を積み上げて長期にわたるビジネス、信頼関係を築いていきたい」と述べた。
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