西友、「5キロ2797円」で台湾産米 人気高く品切れ店も 国産米需要への影響に懸念も2024年11月25日
国産米の価格が上がるなか、割安の輸入米を売り出したスーパーがある。西友が11月14日、販売開始した台湾産米は売れ行き好調だ。輸入米が家庭用にも広がれば国産米の需要にも影響しかねない。
西友店頭に並んだ台湾産米
「むすびの郷」(発売日の11月14日撮影=西友広報室提供)
お客様の反応は想定以上
西友(本社・東京都武蔵野市)が販売を始めたのは、台湾産米をブレンドした「むすびの郷」で、価格は5キロ2797円(税込み)。米売り場に並ぶ国産米より約1000円安い。
西友広報室の平光梨加さんは、「台湾産米の販売を開始した理由は、米価が高騰し物価も上がる中、通常の米より2~2.5割安いことです。国産米と同じ短粒種のジャポニカ米で、国産米に近い風味や食感です。お客様の反応は想定以上で、品切れになった店舗もあります」と話す。
11月21日、埼玉県内の西友の米売り場を訪ねると、国産米の新米が多数並んでいるが「むすびの郷」は見当たらない。店員に聞くと、「米売り場の横のワゴンに並べていたのですが、売り切れました」。本社によると、近く2度目の入荷があるという。
台湾に赴任した会社員は
最近、家族で台湾に赴任した会社員の浜名徳明さん(39)は、「こちらに来てから台湾産米を炊いて食べていますが、美味しく、日本の米と変わらない感じです。こちらでも日本産米も売っていますが、台湾産よりやや高い価格です。コメは日本産より安いのですが、台湾も物価が上がって食品に割高感が出てきました」と語る。台湾産米は日本人の味覚にも合うようだ。近所のスーパーのチラシによると、台湾産米は1等米5キロ換算で1800円~2600円程度の銘柄が主になっている。
カルローズは中粒種
コストコホールセールジャパン(本社・千葉県木更津市)は6月から、カリフォルニア産米「カルローズ」の販売を再開し、コストコ全33店舗で販売した(現在は販売終了)。カルローズは「カリフォルニアのバラ」を意味する名前で、日本米など「短粒種」とタイ米など「長粒種」との間の「中粒種」である。
米国産米の販売促進を手掛けるUSライス連合会日本事務所は、「コストコさんでの試食キャンペーンでは、『日本米と変わらない』『軽い食感が好き』等の声が寄せられ、好評でした。日本の流通事情には詳しくありませんが、輸入が増える背景には国産米の価格が高くなったこともあるのかな、と思います」とコメントした。
「国内産地を守る」
輸入米のシェアが家庭向けの米でも増えていくと、国産米の需要がその分減りかねない。西友は、「当社のブランド『食の幸』では、国産米の品ぞろえも増やしました。外国産米は理由があって販売していますが、『食の幸』で国産米もしっかり届けています。これからも産地の方々の生活を守りながら、お客様にお米を安定供給していきます」(前出・平光さん)と話す。
農水省が9月6日に実施した今年度初のSBS入札で、輸入枠2万5000tの3倍に当たる応札があり全量落札されるなど、価格の安い外国産米のニーズは高まっている。
輸入米の売れ行きは今後どこまで伸び、扱いはどこまで広がるのか。関係者は固唾をのんで見守っている。
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