米の価格形成 コスト指標で「基準年」設定で合意2025年4月16日
農水省は4月15日、適正な価格形成に関する協議会の米ワーキンググループ(WG)の第3回会合を開き、コスト指標のあり方について議論した。会合ではコスト調査を実施して、それをもとに指標化する「基準年」を設定することに合意した。
農水省は生産、製造、流通の各段階にかかったコストを明らかにするためおもな農産物と食品についてのコスト調査を2024年度に実施した。
米は北海道・東北の5産地、関東、北陸で生産者やJA、卸業者、食品スーパーなどアンケートや聞き取り調査によるコスト調査を行った。
調査したのは2022年産米。北海道・東北のある産地の調査では、産地から米卸を経由して都内のスーパーで小売販売されるケースを調査した。
その結果、マージンを除くコストは玄米1kg当たり、生産段階は173.8円、集荷段階は22.9円、卸売段階は57.1円となり、合計で285.9円となった。
今回の調査では生産コストは農水省の生産費統計を使い、労働費(玄米1kg当たり66.1円)、農機具費(同47.9円)、肥料費(同19.3円)などを積み上げていった。
WGではこの調査結果をコスト指標のイメージとして示し、基準年を設定し指標作成のために改めて調査することを提起した。そのうえで、直近のデータには、たとえば労働費であれば毎月勤労統計、農機具費であれば農水省の農業物価統計を活用して、基準年のコスト指標と比較する。コスト指標で原材料価格が25%上昇していた場合、原材料価格に25%上乗せした価格を提示するなどして価格交渉を行う。あるいはコスト指標が具体的に上昇していることが把握できた時点で価格交渉を要求するなど、交渉開始としてのトリガーとして活用する。
こうしたコスト指標のイメージに対して生産者側委員からは「違和感はなく受け入れやすい」とした。ただ、十分な人件費を含んだ労働費となっているか、一方、農機具費に含まれる将来への投資を生産コストとしてどう位置づけるかなど、検証すべき点があると指摘した。
卸売業者からは調査手法の一貫性が指摘され、実需者からはコスト指標の公表時期が問題だとした。
消費者団体からはコスト構造を明らかにすることは消費者理解に役立つとし、小売業者からはコストを低減させる生産性向上が重要との意見が出たが、「基準年」を設定することには合意した。
適正な価格形成の仕組みづくりを法制化する食料システム法は3月7日に閣議決定され、今後国会で審議される。
対象となる品目は通常の取引のなかでコストが認識されておらず、持続可能な生産、供給が懸念されるもので農林水産大臣が指定品目として定める。そのうえで指定品目ごとにコスト指標作成団体を作る。既存の団体が役割を担うことも考えられる。
現在、WGが設置されている米、野菜、牛乳、豆腐・納豆が指定品目になる見込みで法律が成立した後に、コストを反映した価格交渉が実施することができるよう、今後も議論を続けていく。
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