農業・食品産業技術総合研究機構が「牛疫」の国際管理機関に2016年6月6日
5月にパリで開催された国際獣疫事務局(OIE)総会で国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構の動物衛生研究部門が牛疫のレファレンスラボラトリーとして認定された。
OIEのレファレンスラボラトリーは、動物疾病の診断と診断方法に関する加盟国への助言や、診断に利用する標準株・診断試薬の保管等を行っている。
動物疾病のうち、牛疫はウイルスによる伝染病で、激しい下痢の後、起立不能となるなど、致死率、感染力とも高く世界中でもっとも恐れられた家畜の伝染病だった。これに対して国際連合食糧農業機関(FAO)とOIEによる撲滅キャンペーンが進められた結果、2011年に世界的な撲滅が宣言された。
現在、各国の検査室が保持する牛疫ウイルスは廃棄するかFAOとOIEが安全性を確認した認定施設で隔離管理することになっており、昨年、農研機構動物衛生研究部門(現国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構動物衛生研究部門)がアジア太平洋地域で唯一の牛疫ウイルス所持施設として認定された。
さらに今回5月のOIE総会でアジア太平洋地域で初めてのレファレンスラボラトリーとして認定された。同研究部門の診断技術やワクチン開発等の研究成果が高く評価された結果で、今後はOIEや加盟国に対して科学的・技術的助言を行うなど、牛疫の清浄性維持のため国際的に主導的な役割を果たしていくことなる。
OIEは1924年に発足した世界の動物衛生の向上を目的とする国際機関。28年5月現在180か国・地域が加盟している。
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