JA全中、地域営農の推進役養成を2013年7月29日
JA全中は8月25、26日の両日、東京・大手町のJAビルで地域営農コーディネーター全国交流研修会を開いた。JAの事例報告をもとに、JAグループが全国で取り組みを進めている集落・地区での地域営農ビジョンづくりを支援する担当者の持つ経験と知識を交換。JAによって位置付け、呼び方はさまざまだが、特に集落営農の前提となる農地の利用権集積や担い手を育成する上で、地域の事情をよく知ったコーディネーターの役割の重要性が明らかになった。
JAグループの地域営農ビジョンづくりは、平成24年5月のJA全中理事会の「地域営農ビジョン策定・実践強化全国運動方針」に基づいて取り組みを開始し、10月のJA全国大会で意思統一した。これに沿って25年度は全国運動の普及や推進対策の強化、そして実際、現場で支援する地域営農コーディネーターの育成支援などに取り組んでいる。
研修会では、農地の集積に関わる農地政策をめぐる情勢について、農水省経営局農地政策課の渡邉正芳課長補佐が報告。特に農地の中間的受け皿(農地中間管理機構:仮称)に触れ、すでに耕作放棄地となっている農地のほか、所有者の死亡などによって放棄地になるおそれのある農地も対象にして手続きの大幅な改善・簡素化を検討していることなどを明らかにした。
(写真)
地域営農コーディネーターのあり方で意見交換した全国交流研修会
◆経理・経営診断の知識が必要
現地からはJAいわて花巻が「担い手支援アドバイザー」の活動を報告。同JAはOBによる15人のアドバイザーが、集落ごとの集落ビジョンづくりを支援。また、農家組合に全職員を張り付けて、ビジョンづくりや事務局としての支援をしている。同JA営農振興課の小原正士課長は「法人化対応、経理、経営診断など、アドバイザーのスキルアップが求められる」と指摘し、またアドバイザーの後継者育成の必要性を挙げた。
集落営農づくりのため、法人化と農地の集積に力を入れている、やまがた農業支援センターの池田勝美・法人化推進員は、集落営農づくりにかかわってきた長い経験から、進員の心がけとして「常に自分の目で確かめ、アンテナを高く持って、いろいろな情報に関心と興味を持つように」と助言する。
◆「OB協力会」を嘱託に
農地の面的集積への取り組みを報告したJA熊本うき営農指導部の松田政明氏は、JAのOBを積極的に活用することを指摘。同JAは「OB協力会」があり、嘱託や臨時職員として在職中の経験を生かせる部署で活躍している。「土地持ち非農家は誰に相談すればよいか悩んでいる。JAが間に入ることで組合員から信頼が得られる」という。
◆リーダーの養成が鍵
実際の法人経営から、広島県の「農事組合法人ファーム・おだ」の吉弘昌昭組合長が報告。自身が県の職員だったころ、15年から始めた集落営農法人リーダー養成講座の効果を挙げ「参加者の数と集落法人設立の数が比例している」と、リーダー育成の必要性を強調。また、大規模法人がともすれば対立しがちなJAとの関係について、「JAと集落法人は車の両輪。お互い力を蓄えるための切磋琢磨が必要」と指摘した。なお、JA全中は今後、こうした研修会を地区、県域で開く考えだ。
(関連記事)
・地域農業の現状・予想をウェブで公開 農研機構(2013.07.16)
・【ブックガイド】やってよかった集落営農 ホンネで語る実践20年のノウハウ(2013.07.12)
・総収入3000万円以上が3割 集落営農の実態調査(2013.07.01)
・日本最大の農事組合法人が誕生 農事組合法人となん(岩手県盛岡市)(2013.03.22)
・10年後の地域農業と暮らしをどう描くか? 地域営農ビジョン実践交流研究会より(2012.08.16)
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(150)-改正食料・農業・農村基本法(36)-2025年7月12日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(67)【防除学習帖】第306回2025年7月12日
-
農薬の正しい使い方(40)【今さら聞けない営農情報】第306回2025年7月12日
-
【注意報】水稲に斑点米カメムシ類 県下全域で多発のおそれ 茨城県2025年7月11日
-
【注意報】斑点米カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 新潟県2025年7月11日
-
【注意報】果樹に大型カメムシ類 果実被害多発のおそれ 北海道2025年7月11日
-
【注意報】果樹カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 福島県2025年7月11日
-
【注意報】おうとう褐色せん孔病 県下全域で多発のおそれ 山形県2025年7月11日
-
【第46回農協人文化賞】出会いの大切さ確信 共済事業部門・全国共済農協連静岡県本部会長 鈴木政成氏2025年7月11日
-
【第46回農協人文化賞】農協運動 LAが原点 共済事業部門・千葉県・山武郡市農協常務 鈴木憲氏2025年7月11日
-
政府備蓄米 全農の出荷済数量 80%2025年7月11日
-
【'25新組合長に聞く】JA加賀(石川) 道田肇氏(6/21就任) ふるさとの食と農を守る2025年7月11日
-
【'25新組合長に聞く】JA新みやぎ(宮城) 小野寺克己氏(6/27就任) 米価急落防ぐのは国の責任2025年7月11日
-
(443)矛盾撞着:ローカル食材のグローバル・ブランディング【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年7月11日
-
【2025国際協同組合年】協同組合の父 賀川豊彦とSDGs 連続シンポ第4回第二部2025年7月11日
-
米で5年間の事前契約を導入したJA常総ひかり 令和7年産米の10%強、集荷も前年比10%増に JA全農が視察会2025年7月11日
-
旬の味求め メロン直売所大盛況 JA鶴岡2025年7月11日
-
腐植酸苦土肥料「アヅミン」、JAタウンで家庭菜園向け小袋サイズを販売開始 デンカ2025年7月11日
-
農業・漁業の人手不足解消へ 夏休み「一次産業 おてつたび特集」開始2025年7月11日
-
政府備蓄米 全国のホームセンター「ムサシ」「ビバホーム」で12日から販売開始2025年7月11日