人・組織・地域をつなぎ ともに創ろう豊かな未来 第58回全国家の光大会2016年2月29日
42年ぶり仙台で開催
(一社)家の光協会は2月10日、東日本大震災からまもなく5年を迎える宮城県仙台市で、第58回全国家の光大会を開いた。仙台市での開催は42年ぶり。『家の光』愛読者とJA役職員など約2100人が参加した。大会では復興の大きな力となった「協同の心」を大切にし、これからも農協運動に参画する仲間を増やし協同の輪を広げていくことなどを申し合わせた。
◆協同の力さらに結集を
家の光協会の木村一男代表理事会長は主催者あいさつで『家の光』などの愛読と普及への協力に感謝を述べたうえで、大震災発生からまもなく5年を迎える被災地について、「着実な復興が進む一方、いまだに厳しい生活を余儀なくされたり、風評被害に苦しんだりしている人がいる」ことも強調し、今後もJAグループとして協同の力を結集し被災地支援をしていくとともに、『家の光』連載企画「きずなの力」などで「被災地の現状と、そこで奮闘している人の声を全国に発信していく」と述べた。また、昨年の第27回JA全国大会決議に盛り込まれた「組合員のアクティブ・メンバーシップの確立」に向けてJA教育文化活動の支援の充実・強化など「農協運動の底力となることをめざす」と力強く語った。
宮城県の村井嘉浩知事は、来賓祝辞で全国の農協組織による震災復興支援に感謝の意を表したうえで、宮城県内では被災農地の約9割が復旧し、沿岸部には大規模な園芸団地が整備されていることなどを報告。家の光協会に対し「協同の大切さを重点項目に掲げ、地域に根差した活動から、さらに活動の輪・交流の輪を広げていただきたい」と期待した。
JA全中の奥野長衛会長は「被災地への一層の理解と支援、そしてその礎となる教育文化活動が何より大切だ」と話し、家の光協会について「今後も全国の組合員に確かな情報の発信を」と述べた。
JA宮城中央会の石川壽一会長は「物資や支援は、(被災地の)組合員含め、地域住民が立ち上がる勇気となり、復旧復興に大きな役割を果たした。あらためてJAグループの組織力を痛感した」などとあいさつした。その他、国際協同組合同盟(ICA)と韓国農協中央会会長からの祝電が披露された。
◆応援の声飛び交う活気あふれた体験発表
体験発表には、前日の地区別体験発表大会で選ばれた記事活用の部6名、普及・文化活動の部3名が臨み、応援の声が飛び交うなか、自信に満ちた表情で発表を行った。
審査委員長の石田正昭・龍谷大学教授は審査講評で、地域活性化がJAの大きな課題となっているなか、今回の発表では政府が唱えている地方創生とは違う姿の実現が感じられたと評価した。
「地域の方々が自ら立ち上がって、自分たちの活動として地域を巻き込んでいく。『家の光』を活用して地域活性化にどう取り組んでいくか、その可能性を見出した人を評価した」として、それぞれの体験発表を講評した。
記事活用の部で栄えある志村源太郎記念賞に輝いたのは、JA菊池管内(熊本県)の中村巴さんの「いつも心を豊作に!」。普及・文化活動の部のJA全中会長賞は、JAしまね(島根県)の松浦菜摘子さんの「出愛に感謝♪ 女子大ライフで笑顔満開」が受賞した。また、今回は審査委員会特別賞が記事活用の部のJA秋田おばこ管内(秋田県)の照井律さんに贈られた。
『ちゃぐりん』愛読者特別発表は、「ぼくのゆめ」と題したJA三次管内の広島県三次市立酒河小学校4年の安長隼君。地元のJA直売所に野菜を出荷している祖父母を身近に見ている生活のなか『ちゃぐりん』の記事からJA職員が直売所で工夫していることや、生産者が愛情込めて育てた野菜を買ってもらう喜びを知ったと発表、自分も将来、野菜を直売所で販売し「みんなに美味しいと言ってもらいたい」と夢を語った。中綾子ちゃぐりん編集長は「身近な祖父母が手本を示し、彼を導いていることが伝わってくる作品」と評価した。
「感謝の集い」では俳優の山田雅人さんが「山田雅人 かたりの世界『つながり』」と題し、東日本大震災に遭った3人の女性がJAや地域の人たちとふれあいながら、復興へ向かって努力する様子を語った。またJA栗っこ女性部(宮城県)による家の光選定歌「きずなの力」音頭が披露された。
大会では組合員の「アクティブ・メンバーシップ」の確立のため農協運動に参加する仲間を増やすことや、JA女性組織やさまざまなグループ活動で記事活用を進め、人・組織・地域の幸せづくりを進めることなどを申し合わせた。
【記事活用の部】
志村源太郎記念賞「いつも心を豊作に!」
中村 巴さん(熊本県・JA菊池管内)
熊本の畜産地帯に嫁いだ中村さんは8年前に教師生活にピリオドを打ち、夫とともに肥育と水稲の専業農家になった。女性部にも加入し支部長になったころ、立ち寄る機会が多くなったJAの生活課で『家の光』を見かけ、購読していた義母を思い出し読み始めた。面白い記事がたくさん掲載されているのに、周囲の人たちは「忙しくて読めない」と話す。「もったいない」と感じた中村さんは、女性部の役員会などで記事活用の機会を取り入れたが、継続的愛読運動とはならなかった。
そこで2年前に「家の光クラブ」を立ち上げ、月に1度、気になった記事を発表する活動を始めた。多くの人が発表することで見過ごした記事にも興味を持ち、多くの仲間がともに学ぶ機会になった。
高齢者のサロンや小学校の調理クラブでも『家の光』の記事を活用し、講師をしている日舞のサークルでも休憩時間に読書会を取り入れている。
中村さんは「『家の光』で人生を豊かにし、家庭に光を取り入れて心を豊作にしませんか」と呼びかけた。
【普及・文化活動の部】
JA全中会長賞「出愛に感謝♪ 女子大ライフで笑顔満開」
松浦 菜摘子さん(島根県・JAしまね)
JAしまねの松浦さんは、「教育文化活動とは、JAを理解し、応援する世論を育てる土作りだ」と話した。
地元女性に向けて食や農の勉強の場となり、これからのJA運営や地域活性化に期待されるJA女性大学の活動が、JAしまねでは続々と立ち上がっており、松浦さんが所属する石見銀山地区でも、女性大学開校に向けて準備を始めることになったという。
いよいよ始まる女性大学に「JA女子大学石見銀山キャンパス」と名づけ、30人の定員で年齢に関係なく募集したところ、60人もの応募があったという。女子大が始まり、女性の笑い声と子どもの元気な声が建物で聞こえるようになると、JAの事務所に来ていた組合員からも「若い人もJAを利用するんだね」と評判は上々。
女子大2年目の夏には県内初のフレミズ部会も誕生。またシニア向けの女子大もできた。「もっとJAのことを知りたい」という意見が出ていることを受け、『家の光』の購読を女子大入学の条件としており、講座前に『家の光』記事の感想を話すようになったという。
「女子大生が『家の光』を開き、酪農家の一日を知ってくれた時、私のわずかな勇気は感動に変わった」と話す松浦さんは、「地域の暮らしを守るため、教育文化活動が必要です」と訴えた。
全国大会の出場者とおもな表彰JA
(発表順・敬称略)
【記事活用の部】
▽山崎昭子・JA伊賀南部(三重県)
▽濱田香・JA鳥取いなば(鳥取県)
▽中村巴・JA菊池(熊本県)
▽照井律・JA秋田おばこ(秋田県)
▽岡田千里・JA広島北部(広島県)
▽武藤三津子・JA梨北(山梨県)
【普及・文化活動の部】
▽水嶋啓一・JA山口宇部(山口県)
▽松浦菜摘子・JAしまね(島根県)
▽佐藤美津江・JAさいたま(埼玉県)
【第66回家の光文化賞】
▽JA秋田しんせい(秋田県)
▽JAさいたま(埼玉県)
▽JA京都やましろ(京都府)
【平成27年度家の光文化賞促進賞】
▽JA加美よつば(宮城県)
▽JAさがみ(神奈川県)
▽JA東京中央(東京都)
▽JA栗東市(滋賀県)
※山崎昭子さんの「崎」の字は正式には異体字です。
(写真)「協同の輪」を広げることなどを申し合わせた家の光大会、木村一男会長、志村源太郎記念賞を受賞した中村さん
(関連記事)
・志村源太郎記念賞に中村巴さん(JA菊池・熊本県) 第58回全国家の光大会 (16.02.12)
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