全国レベルの労働力支援や共同購入トラクターなどで目標上回る実績 2021年度 JA全農2022年7月14日
JA全農は7月13日、2021(令和3)年度の事業報告を明らかにした。全国レベルの労働力支援協議会の設置や、国産農畜産物を原料とした「ニッポンエール」で前年比200%の新規商品開発するなど実績を挙げた。
2021年度は、新型コロナウイルス感染症の拡大にともなうサプライチェーンの混乱と、不透明な国際情勢などで国内農業めぐる環境はいっそう厳しさを増した。
3か年計画の最終年度となった2021年度、引き続き5つの最重点事業に取り組んだ。
「生産基盤の確立」ではパートナー企業との連携を通じた農作業受託や、農福連携の導入などによる労働力支援を新規に12県で実践し、累計では目標を上回る30県まで広げた。
県域JA、連合会、関連企業と連携し、県域を超えた労働力支援協議会を6ブロックで設置するとともに、全国協議会も立ち上げた。
また、新規就農者研修事業を継続し、実践型研修農場での新規就農者の育成に取り組み、5県で実施。12人が新規就農し累計で110人となった。
米の集荷拡大や、青果物の選果、選別作業の軽減のためJA域を超えた広域集出荷施設を米穀で1か所、園芸で3か所設置した。
米の物流合理化をめざす全農統一フレコンは6万枚の目標に対して12万3000枚と2倍以上に普及した。
そのほか、大型に続く中型の共同購入トラクターの供給は1400台の目標に対して1713台の実績となった。
消費者ニーズの変化に対応しグループ会社や他企業と連携し「食のトップブランドとしての地位の確立」への取り組みでは、国産農畜産物を原料とした全農オリジナルブランド「ニッポンエール」で前年比200%となる138商品を新規に開発、販売した。「全農が消費者に認知される」(全農)取り組みは新3か年計画でも拡充させる方針だ。
青果物の実需者直接販売は実績4044億円で前年比99%、包装・加工・冷蔵機能を持つ直販施設は3か所に設置した。
産地直送通販サイト「JAタウン」は目標85億円に対して実績90億円と目標を超えた。
「元気な地域社会づくりへの支援」では、地産地消の拡大に向けた直売所の集客力向上と売り場活性化に向けた人材育成などの支援を新規44店舗で実施、累計で289店舗となっている。
JAでんきの新規取扱JAの拡大による組合員向け営農・家庭用電力事業の供給拡大に取り組み、累計で3万4742件となった。再生可能エネルギーの普及・拡大に向けた「太陽光・蓄電池」などの新技術機器は新規に21台導入し、前年比263%となった。
「海外戦略の構築」では、牛肉、米、青果物など日本産農畜産物の輸出は82億円で前年比140%となった。
生産資材の調達では、肥料原料で海外山元との関係強化や、輸入国の変更など緊急調達を行った。実績はリン安が前年比170%、尿素が同111%となった。
飼料原料の調達は米国の全農グレインが前年比87%、ブラジルは同115%、カナダは同68%となった。
「JAへの支援強化」の取り組みでは、全県域でJA経済事業の改善と業務効率化に資する「経済事業強化メニュー」の提案と実践を行った。
また、JAの経営・業務分析に基づく「JA総合分析・事業活性化プログラム」の提案と実践を目標の5県に対し14県で実施した。
「JA支援」は今回の3か年計画で初めて掲げた事業。「JAの現場に担当者が入り込んだことが大きく、分析の手法は3年で定着、JAと組合員との接点の強化のためのメニューは提示できた」(JA全農・安田忠孝専務)とする。今後は「JAに伴走して成果を上げる」ことが必要だという。
2021年度までに3か年計画は当初、取扱高5兆円目標を掲げた。それによって国内農業の総産出額の拡大を実現し、生産者の所得向上に結びつけることをめざした。目標を実現できなかったことについて「力が及ばなかった認めざるを得ない」とするが、労働力支援の仕組み作りなど生産基盤の強化や、「ニッポンエール」ブランドの伸びなどそれぞれの重点実施事項で成果を挙げた。
コロカ禍での需要減で単価安となったことが目標未達の要因でもあるが、全農は、国産農産物の価値を高める一層の努力や、新たな需要の開拓なども課題として事業展開を進める。
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