大学生が調査、体験もとに地域づくりを提案 JA共済連の寄附講座でシンポ2025年1月16日
JA共済連は早稲田大学の学生に農業と地域について講義と現地調査で学んでもらう寄附講座を2012年から続けている。13年目を迎えた今年度は「農とSDGs」をテーマに30人の学生が6班に分かれ5つの地域で現地調査を行い、農家やJA、地域住民と交流しながら課題を整理し、地域づくりのための提案を行った。そのまとめとなる活動報告シンポジウムが1月15日に早大で開かれた。

早大で行われたJA共済連寄附講座のパネルディスカッション
今年度、現地調査したのは愛媛県西条市、北海道江別市、三重県御浜町、大分市、熊本県山都町の5地域。
各地で農家など地域住民やJA、行政などから地域の課題をヒアリングして整理、その課題解決のための取り組みを17あるSDGsの項目に結びつけて見える化する「ローカルSDGs包括マップ」の作成を目標とした。
三重県御浜町はみかんの産地だが、若者の人口流出で後継者不足に悩む。学生たちは中学生からもヒアリングし、地域への愛着や誇りの醸成が必要ことや、そのために地元の子どもたちへの農業体験を提案した。また、外部からの新規就農者に対して農地や住宅の確保などが重要なことも提起した。
熊本県山都町はSDGs未来都市を宣言しており、ヒアリングをすると地域住民がSDGsを「自分事」として捉えて活動を行っており、それが外に対する魅力となっていることに気づく。農業だけでなく文楽などこの地域にしかない伝統文化は住民のつながりを強めるとともに、「住み続けられるまちづくり」というSDGs目標に向け、多世代の参画が期待されていると学生たちはまとめた。
パネルディスカッションでは、地域住民とのディスカッションがお互いの気づきを広げ、問題意識の共有につながることや、包括マップ作成によって、人と地域課題のつながりが明示されること、都市と地方で視点や関心が異なる学生の共同の現地調査なども地域づくりに大学生が貢献できるなどの指摘もあった。
講座の責任者である早田宰・早大社会科学総合学術院教授(コミュニティ開発)は、地域住民と対話のなかでマップ作成をすることを心がけているほか、地域によっては田植えを手伝うなど、この現地実習では「単なるコンサルティングや分析ではなく、農村の実情を知って支え合いや助け合いを知ることになる」と話し、学生たちの「共感力」が高まったのが成果の一つだと話す。
来年度は「SDGs未来都市に学ぶ」をテーマに講義と現地実習を行う。JA共済連はこの寄附講座を通じて学生らの現地調査にかかる旅費など費用すべてを負担している。
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