【農協研究会】准組合員問題にJAはどう正面から向き合うか JAはだの組合長・宮永均氏2025年11月20日
11月15日、「准組合員問題にJAはどう正面から向き合うか」をテーマに開かれた農業協同組合研究会2025年度第1回研究会では、JAはだの代表理事組合長の宮永均氏が「准組合員問題にJAはどう正面から向き合うか」をテーマに報告した。宮永組合長は、准組合員対策を食と農に関わる人を裾野を広げる「地域作り」に位置付けた。以下はその要旨である。
JAはだの組合長・宮永均氏
維新・前原氏の発言
自民と維新との連立政権になったが、維新の前代表・前原誠司氏は7月、「農協の悪玉論にはくみしないが、脱・農協依存はしっかりやっていく必要がある。......多様なプレーヤーの参加で、生産者の選択肢を作っていくことが大事だ」と述べた。大変だと心配したが、農水省の大臣官房政策課に聞くと「准組合員が増加した状況であるが制度的に追い込むことはない」。農政課は「国消国産など生産から消費に関心が広がる中、消費の観点からも一定の役割をなす准組合員に関し規制強化の話が出てくるのは想定しがたい」と話した。制度問題についてはひとまず安心できるのではないか。
1979年に打ち出された基本方向
戦前の産業組合でも非農民は多かった。1940年度末では組合員数771万人のうち261万人が非農民だった。
准組合員制度は、都市化が進展した1960~70年代にかけ首都圏の農協を中心に活発な議論が行われた。全中は1966年、准組合員制度について「農協が農業者主体の協同組織であることを再認識し、併せて地域共同組織として機能を発揮できるように措置すること」を行政庁に要請したが、行政は地域協同組合化への法改正を進めようとはしなかった。
1970年に開催されたJA全国大会では、生活基本構想と今後のJAの基本方向を決議した。1973年には「都市農業問題研究会」が組織され、協同組合運動の趣旨に賛同する地域住民を准組合員として積極的に受け入れる方向が明示された。同研究会からの諮問に対して総合審議会は1979年、「准組合員のJA運営における明確化について」を答申した。
「JAが農民に基礎をおいた組織であることを踏まえ、協同組合運動に共鳴し、安定的な事業利用関係が可能なものを中心に地域の実態に応じてその加入を進める」
「准組合員の農協運営の参加については、正組合員中心の運営に差し支えない範囲で、必要に応じて、集落の座談会及び生活関係の委員会への参加等により准組合員の意思反映方策を講じる」
「准組合員が協同組合についての理解を深め、各種組合員組織の協同活動に積極的に活動するよう情報の提供、組合員教育の充実などその対応を強化する」
――という内容であった。
組合員を増やす取り組み
1982年に開かれた「JAの准組合員対策討論会」でJAはだのの山口組合長(当時)は「准組合員対策はそのまま正組合員対策であって、正とか准とか区別すること自体に問題がある。協同活動の中にどのように組み込んでいくかが大切だ」と意見を述べている。以降、正准一体となった組織運営をスタートしていった。現在1万4000人の組合員がいるが8割が准組合員だ。
男女共同参画基本法や食料・農業・農村基本法の制定もあって女性参画が強く求められるようになった。2000年に開かれた第22回JA全国大会でも正組合員の25%以上を女性とする目標が掲げられた。
JAはだのでは2003年から、当時6800人ほどだった組合員を1万人にしようという「組合員増加運動」を行った。正組合員の複数化を進め家族にも組合員になってもらうことで25%を達成し、組合員全体では3割を超えた。
教育活動と意思反映
コロナ以降総会ができなくなり総代会になっているが、総代の3割は女性だ。支所単位で新規加入者を対象に1年1回「集い」を開催し、組合員基礎講座も行っている。組合員講座、専修講座も実施している。
毎月26~27日には機関紙を発行し全組合員に全職員でお届けしている。職員は大変だが、対話活動として継続している。春と秋に地域73ヵ所で座談会を開き、准組合員にも参加を促している。そうはいっても平日は参加しにくいので、本所で休日に座談会を開き、毎回100名ほど参加していただいている。たくさんのご意見をいただき、できるものは事業計画に反映している。
120の生産組合には准組合員も迎えている。「JAの行う地域作り」だ。生産組合の事務局は地域に通っているLAが務めている。年1回、バスで先進地を見て学び、交流する。活発なところは事業利用も高い。
食と農ではJAが地域No1
野菜を育てたい、土にふれてみたい。そういう市民が増えている。食と農については私たちが地域No1なので、農に関わる人の裾野を大きくしていきたい。
2005年、秦野市、農業委員会、JAの3者がワンフロア―で「はだの都市農業支援センター」を立ち上げた。新たな農業の担い手を作り農業を盛んにしていく狙いだ。耕作されなくなった農地をJAが借り受け、100㎡ごとに割って6500円/年で240人ほどにご利用いただいている。うち85人が准組合員に加入された。
市民農業塾から94人が就農
はだの市民農業塾を作り、新規就農コース、基礎セミナー、農産加工起業セミナーコースという3コースを設けた。
農業者を育てる新規就農コースは、2006年度から109人が修了しうち94人が就農した。農地利用権設定をし、支援センターがお世話をし、ファーマーズマーケット「はだのじばさんず」を中心に出荷いただく。新規就農者の耕作面積を合計すると20ha近くになり、1.7ha規模で1000万円以上売り上げている方もいて「子ども2人大学まで出し、住宅ローンも払い終わった」という報告をいただいた。加工起業は、ファーマーズマーケットの売上のうち加工品比率を20%にしたいと設けた(現在は13%)。少しでも付加価値を付け、農家所得向上につなげたい。
コモンズ農園と協同組合間連携
今盛り上がっているのは「はだの農業満喫CLUB」だ。登録者に収獲体験等を情報発信し、参加・体験してもらっている。体験農園は2つ目が来年4月に始まる。「コモンズ農園」と名付けている。ICTを活用し、1つのアプリで「はだのの農業」がすべて見え、ここに参加しよう、ここに関わってみたいという人を増やそうと、農水省のモデル事業で補助金も使って進めている。
パルシステム神奈川ゆめコープと連携協定を結んだ。子育て、クッキングフェスタなど「地域の中に協同組合あり」で」進めている。地域振興・地域貢献に関して自治会連合会(自治連)とJAはだの西支所が覚書を交わした。1年少しになるが、イベントの案内が各家庭にくまなく届くのが大きい。
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