【JA全農 水稲直播栽培研究会】ドローン湛水直播で規模拡大も可能に ヤンマーアグリジャパン(4)2026年1月23日
JA全農耕種総合対策部が1月21日に開いた「水稲直播栽培研究会」で、ヤンマーアグリジャパン農機推進部ソリューション推進部の是松公詳課長が、「ドローン湛水直播栽培の現状と課題」について、同社の取り組み事例を紹介した。
ヤンマーアグリジャパン農機推進部ソリューション推進部の是松公詳課長
担い手への農地集約によって耕作面積が拡大する一方、農業従事者の確保は難しく、規模拡大には限界がある。ドローン湛水直播(は)栽培は、①大型機械が不要、②ぬかるむほ場でも作業が可能、③ほ場間の移動が容易、④誰でも精度の高い作業が可能、⑤労働負担の軽減・省力化、といったメリットがある。移植栽培(密苗)と組み合わせることで、ほ場条件や生産者ニーズに応じた柔軟な栽培体系が構築でき、規模拡大も可能になる。
課題としては、均一な播種床を確保するための丁寧な代かきが不可欠で、風の影響を受けやすいほか、施肥や除草剤の同時散布ができない点が挙げられる。ドローンによる播種は播種深度が浅くなりやすく、倒伏リスクや生育のばらつきが生じやすい。安易な作業では失敗につながりやすい。
機体の大型化で多様な作業に対応
湛水直播栽培で推奨するDJI社製農業用ドローン
ヤンマーアグリジャパンでは、DJI社製の農業用ドローンを活用している。近年は機体の大型化が進み、農薬や肥料、種子の大量散布が可能になった。ほ場規模や作物に応じて、水稲の播種に加え、水稲や野菜の防除、肥料散布(空中追肥)など、多様な作業に対応できる。
湛水直播栽培に推奨している機種は「T25」「T25P」「T70P」。「T25」と「T25P」のタンク容量は20kgで、水稲直播では1時間当たり約1ha、播種量は10a当たり2.5~5kg。「T70P」はタンク容量70kgと大容量で、作業効率は「T25」などと同等。ほ場条件や作業スタイルに応じて最適な機種を選択できる。
オプションの粒剤散布装置は、シャッター方式の「T10」は積載量10kgで除草剤散布向け、「T25」は20kgで播種や施肥にも活用できる。シャッターは大型・中型・小型があり、湛水直播には中型が適する。スクリューオーガ方式の「T25P」は積載量20kgで、除草剤、播種、施肥に対応し、「T70P」は70kgで播種と施肥に使える。オーガも大型から小型まであり、湛水直播では中型が適している。
各地の取り組み事例
DJI農業用ドローンを活用した湛水直播の事例を紹介したい。岡山県津山市の中山間地域の農業生産者は、ほ場管理が難しく、雑草の繁茂や倒伏が課題となっていた。農業支援サービスに依頼し、「T25」を用いて「リゾケア」で処理した「きぬむすめ」を10アール当たり5kg播種したところ、平均収量は10アールあたり480kgとなった。生産者は「ほ場ごとの管理や作業精度が収量や作業効率に大きく影響することを実感」し、次年度は播種量を減らすことを検討している。
福井県大野市の生産者は、カルパーコーティングを3倍重にした「にじのきらめき」を、「T25」で播種した。播種量は10アールあたり2.4kg、播種深度は5~10mm。平均収量は10アールあたり720kgとなり、生産者は「飛行高度や散布幅を細かく調整することで、経験に左右されず安定した播種ができた」とし、次年度は10haに拡大する計画だ。
福島県相馬郡の生産者は、従業員5人で約100haの密苗栽培を行っていたが、面積拡大に限界があった。乾田直播も検討したが、春先にほ場が乾かず断念。そこで、「リゾケア」と鉄コーティングの「天のつぶ」をそれぞれ10アールあたり5kg、「T10」を用いて薄まきで2回播種した。平均収量は10アールあたり450kgとなり、「一部で種子の重なりによる倒伏は発生したが、密苗栽培で日頃から丁寧に代かきを行っているため、管理作業の負担は感じない。苗立ちは非常に良好」とし、次年度は「リゾケア」のみで10haに拡大する。
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