【JA全農 水稲直播栽培研究会】農機、肥料、農薬の資材と技術を解説 耕種資材部(7)2026年1月26日
1月21日に開いたJA全農の水稲直播栽培研究会では、JA全農耕種資材部の各担当部署が、湛水直播(は)・乾田直播に使われる農業機械、肥料、農薬の技術や資材を説明した。
直播用の農機(農業機械課)
湛水直播用の播種機(ヤンマー「YR8DASTGFE」)
湛水直播で移植栽培と異なる農機は主に直播機。育苗が不要となり省力化につながるが、デメリットは、専用アタッチメントが必要なことや、播種した種もみが浮いたり、根が土に定着しにくく、安定した苗立ちが難しい点だ。除草剤体系の確立や高度な水管理も必要となる。播種機の例では、移植栽培と条間が同じためコンバインなどの機械が使える、ヤンマーの「YR8DASTGFE」がある。
乾田直播は、育苗に加えて代かきも不要で、省力化につながり、作業の分散化も可能だ。麦や大豆との共用で導入コストも抑えられる一方、作業機の使用には比較的大型のトラクターが必要で、除草剤体系や水管理の難しさは湛水直播と同様だ。農機では、バーチカルハロー(播種床仕上げ)、グレンドリル(播種)、ケンブリッジローラー(播種前後鎮圧)、シーダー(播種)、不耕起V溝直播機などが使われる。
乾田直播用のロータリーシーダー(松山「SR240SH8-0L」)
グレンドリル播種の播種機の例では、面積が大きい生産者向けのTUME「CK2500HW-P」。播種前後の鎮圧で苗立ちや漏水対策にもなる鎮圧ローラーはスガノ「A24ACG」。播種と施肥、鎮圧を同時工程で行う耕起同時播種では、比較的面積が小さい生産者向けに松山「SR240SH8-0L」(ロータリーシーダー)。V溝播種体系の播種機では、鋤柄「AD-126」がV字型の溝に種もみと肥料を同時にまき、耕さずに播種するため、作業速度が比較的速い。
肥培管理と直播用肥料(肥料課肥料技術対策室)
移植栽培と直播栽培での一発肥料の違い
湛水直播は播種から2週間程度は肥料を吸収しないため、即効性肥料は無駄になりやすい。移植に比べて過剰分げつになりやすいため、初期の肥効抑制が必要だ。全量基肥施肥(一発体系)では、移植用肥料では後半に肥料切れになる可能性があり、直播用の一発肥料は速効性肥料の割合を下げ、溶出期間の長い被覆肥料を用いる。
乾田直播は、播種から出芽までの乾田状態で窒素肥料が硝化し、入水すると脱窒により窒素肥料がロスする。地力窒素の発現も小さい。在ほ期間が長いため、速効性肥料は移植よりも施肥量を増やし、追肥回数を増やす。また、硝酸化成抑制剤入り流し込み肥料やドローン施肥で省力化を図る。一発肥料では、速効性肥料の割合を下げ、溶出期間の長い被覆肥料を使用する。
こうした肥培管理から、使用する肥料は、湛水直播では約8割の窒素成分が緩効性肥料(被覆肥料)由来で、乾田直播は速効性をゼロにした銘柄も多い。寒冷地では生育初期が低温となるため、分げつ確保のために短期タイプ(25~40日)も配合する。耐倒伏性の低い品種では、幼穂形成期頃の肥効を抑えることが望ましい。
また、土づくり肥料は、堆肥などの有機物供給による可給態窒素(地力窒素)の維持・向上で地力を高める。近年の高温など異常気象による品質低下に対しては、ケイ酸質資材の施用で白未熟粒の発生を軽減する。また、稲わら分解による異常還元の抑制には、石灰窒素などの施用による分解促進や、鉄含有資材の施用による根腐れ防止が有効だ。
防除技術と農薬(農薬課農薬技術対策室)
直播栽培の雑草防除技術
移植栽培と比べて難しい雑草防除は、乾田直播と湛水直播で使用する薬剤が異なる。登録ラベルを遵守し、体系防除や省力製剤を用いる。病害虫防除は、種子処理(FS剤)や播種時処理(土中施用)を行う。苗立ちの確保には、「リゾケア」や鉄コーティングが有効だ。
「リゾケア」は、あらかじめコーティングされた種子で、自家処理は不要。土中播種、表面播種の両方に対応し、出芽後は芽干し以外の水管理は移植栽培とほぼ同じ。鉄コーティングでは、従来の鉄濃度(90~100%)よりも低い10%で、コーティング直後に播種可能で、長期保存もできる新鉄コーティング用低発熱資材もある。FS剤は水稲種子に薬剤を処理し、箱処理剤と同等の効果や残効があり、省力的だ。使用薬剤の種類や量をカスタマイズできる。
省力製剤には、豆つぶ剤、楽粒剤、FG剤、顆粒、エアー粒剤などがある。少量散布で使用者の負担を軽減し、自己拡散により有効成分がほ場全体に均一に広がる高拡散性を持つ。また、ドローンなど多彩な散布方法がある。
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