全中トップフォーラム【基調講演】JCA常務 小林元氏 相続、継承対策が急務2026年2月13日
JA全中は、組合長らJA経営トップ層を対象に、第30回JA全国大会や自己改革の取り組みの着実な実践に向けた機運を高めるとともに、先進的な取り組み事例などを学び、自らのJAの自己改革のさらなる深化をすすめることを目的に、1月13日から28日まで全国6カ所で「令和7年度 大会決議・自己改革実践トップフォーラム」を開いた。ここでは情勢報告、基調講演、実践報告をまとめた。
JCA常務 小林元氏
JAの現場における組織活動は、明確な目的を持って行われておらず、形だけになってしまっているケースが散見される。JAトップからは、「組織基盤強化をすると事業は伸びるのか」としばしば聞かれる。
組合員は顧客ではないが、他企業は顧客基盤強化に多大な資源とコストを投入しているなかで、JAは正組合員の結集力とのれんによって事業競争力を持つことができていた。しかし、当たり前のように存在していた組織基盤を、戦略的に強化することをいつのまにか軽視してしまってきた経過がある。
協同組合は組合員の組織であり、組合員という組織基盤があって事業と経営が成り立つ。実際、生協はスーパーなどとの競争下のなか、経営の一丁目一番地にしているなど、組合員の拡大と関係性の強化を経営戦略の重要な取組みとして位置付けている。
ではJAは組合員との関係について事業や経営と結びつけて考えているのか。
かつて京都大学名誉教授の藤谷築次氏は組合員一人の事業利用量は、組合員の経済活動量のうち、どれくらいJA事業を利用するか、その平均利用率によって決定すると提唱した。JA全体の事業量は、組合員一人の事業利用量に組合員数を乗じれば求めることができる。そうだとすればJAの事業分量を増やすには、組合員の平均利用率を上げていくことが必要条件となる。
平均利用率を上げていくには組合員の結集力が鍵となる。その意味から藤谷氏はJAのいちばんの強みは「組織力効果」だと提起した。
しかし、JAの組織基盤には変化が生じている。前回の第29回JA全国大会で全中は組織基盤の課題を整理した。
その課題の一つがますます高まる准組合員比率であり、6割を超えた。ほぼすべての県で准組合員のほうが多くなった。どう対応すべきか。私は個人的にはもっと増やすべきだと考えている。理由は、JAグループは准組合員を「農業の応援団」として位置付けていることに加え、食料・農業・農村基本法が改正され、食料安保が柱となり、しかもそれは農業者の問題ではなく国民一人一人の課題だと明確にした。であるなら、正組合員が作ってくれた農産物を食べてもらう消費者のみなさんにも仲間になっていただき、地域農業を支えてもらう必要があるではないか。
また、団塊の世代のリタイアが始まったことも非常に大きな課題である。そして何が始まるかといえば、農業や農地、ムラに関心を持たない世代への相続である。
このような組織基盤の変化はJAにどのような変化をもたらすか。
これからは自給的農家や土地持ち非農家が相続でJAから離れて、貯金や出資金などの流失の可能がある。それが進行すれば基礎組織である集落組織からの離脱ということも考えられる。
喫緊の課題は次世代対策、相続・承継対策であり、それは未来のJAへの投資である。対策は世代別・属性別に考える必要があり、現組合員の資産・役割の承継先として、55歳から65歳層へのアプローチを強化していくべきだ。相続・承継対策とともにJAがどんな役割を果たしているのかを知ってもらい加入促進運動の必要もある。また、20年後の人口ピラミッドの推移予測からして、現在40歳から55歳の層は、20年後の唯一のボリュームゾーンであるため、今後のJA経営を見通す上でもこの層への対応強化は必須と考える。
当然、20歳、30歳代の子育て世代も、食農教育やJAまつりへの参加などを通して30年後の事業に向けた種まきとしてアプローチをする必要がある。
活動と事業を好循環させるためには、事業だけでなく、活動にもPDCAを導入する必要がある。そのためにはJAの組合員を把握し関係性の強化に向けて活動を棚卸して、事業との関係を見直したうえで、事業につなげていくといった取り組みが求められる。
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