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【今さら聞けない営農情報】第19回 土壌の改良(3) CEC2019年9月20日
前回までに、土壌改良の基礎として「pH」と「EC」の意味と改良の仕方を紹介しました。今回は、土壌の肥料を保つ力(保肥力)の指標として知られるCECについて紹介します。
1.CECを調べる
CECとは、Cation Exchange Capacity の略で塩基置換容量といいます。土壌中にある鉱物とか腐植と呼ばれるものは、マイナスやプラスの電気を帯びています。
肥料は、土に施用されると水に溶けることで肥料成分がプラスの電気を帯びますので、マイナスの土壌がプラスの電気を帯びた肥料成分をくっつけて、雨や灌水などがあっても土壌から肥料成分が流れていかないように保持してくれます。
このため、CECは、土壌の保肥力の大きさを表します。通常は、乾燥土壌100gあたりの陽イオンのミリグラム当量(meqやme)で表し、1meq=原子量(mg)/荷電数となります。この数値が高ければ高いほど保肥力が高いことを示し、一般的に日本の土壌では数meq~40meq程度です。
地力増進基本指針におけるCECの基準値は以下のとおりです。
<水田>
12meq以上:灰色低地土、グライ土、黄色土、褐色低地土、灰色台地土、グライ台地土、褐色森林土(ただし、中粗粒質の場合は8meq)
15meq以上:多湿黒ボク土、泥炭土、黒泥、黒ボクグライ土、黒ボク土
<普通畑>
12meq以上:灰色低地土、黄色土、褐色低地土、灰色台地土、泥炭土、褐色森林土、暗赤色土、赤色土(ただし、中粗粒質の場合は8meq)
15meq以上:多湿黒ボク土、黒ボク土
10meq以上:岩屑土、砂丘未熟土
<樹園地>
12meq以上:灰色低地土、褐色低地土、灰色台地土、褐色森林土、暗赤色土、赤色土、黄色土(ただし、中粗粒質の場合は8meq)
15meq以上:多湿黒ボク土、黒ボク土
10meq以上:岩屑土、砂丘未熟土
2.CECの測定
CECの測定はいくつかの方法がありますが、概略的にいうと、十分に懸濁した土壌溶液に段階的にいくつかの試薬を入れて反応させ、最終的に溶出させたアンモニウムイオンを比色法で測定することによってCECの値がわかります。いずれにしても、実験室的な操作が必要になります。
3.CECの改良
CECが大きいほど保肥力が高いので望ましいですが、この数値は、土壌がもともと持っている性質に左右されるため、改良することは難しく、客土など土壌そのものを入れ替えるような荒療治が必要になります。
なので、改良を考えるよりも、CEC値に合った施肥を行うことの方が重要です。
例えば、CECが高い土壌の場合には、施肥量が過剰にならないように注意したり、CECが低い土壌の場合には、肥料分がすぐになくなるので、施肥を複数回に分けたり、緩効性肥料を使用するなどします。
無駄な施肥を避けるため、一度はほ場ごとの土壌診断をして、土壌の特性をつかんでおくと、その後の施肥プランが立てやすくなります。
本シリーズの一覧は以下のリンクからご覧いただけます。
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