JAの活動:今さら聞けない営農情報
農薬の正しい使い方(44)【今さら聞けない営農情報】第310回2025年8月9日
「いまさら」では農薬を正しく、安全に、しかも高い効果を得るため、農薬の正しい使い方の基礎知識をご紹介しようと考えています。農薬の防除効果は、有効成分をいずれかの方法で作物に付着または吸着させることができてはじめて発揮されますので、高い効果を発揮させるには、有効成分をいかに効率よく作物に付着させられるかが鍵となります。現在、濃厚少量散布が可能な機械の一つであるドローンで農薬を散布する際の留意事項を掘り下げて紹介しています。
すでにご紹介したように、その使用方法に「散布」あるいは「無人ヘリ散布」と記載のある農薬がドローンで使用でき、用途によって使い分けがなされています。前回は「散布」(=希薄多量散布)のメリット・デメリットをご紹介しましたので、今回は「無人ヘリ散布」(=濃厚少量散布)に焦点をあててみようと思います。
「無人ヘリ散布」登録は、「濃い薬液」を「少ない散布液量」で散布する方法の1つです。
無人ヘリコプターでの散布の場合、多くの薬剤が8倍希釈液を10aあたり0.8ℓ(800㎖)散布します。一部には、16倍希釈液を0.8ℓ(800㎖)散布するものもありますが、いずれにしろ10aあたり800㎖という少ない散布液量で散布して効果を発揮します。少ない散布液量で効果を発揮するために必要な有効成分量を確保するためには、有効成分を多く含む濃い薬液にする必要があります。
例えば、Aという有効成分を8%含むAフロアブルという農薬を例に考えてみます。
Aフロアブルの適用内容は、希薄少量散布の場合は1000倍液を10aあたり100ℓ~200ℓ散布、濃厚少量散布の場合は8倍液を10aあたり0.8ℓ散布です。
このAフロアブルの散布液に含まれる有効成分Aの量を計算してみます。
希薄少量散布液100ℓに含まれる有効成分Aの量は、
100ℓ÷1000(倍)×0.08(8%)=100,000㎖÷1000×0.08=8㎖(g)です。
希薄少量散布液200ℓに含まれる有効成分Aの量は、
200ℓ÷1000(倍)×0.08(8%)=200,000㎖÷1000×0.08=16㎖(g)です。
濃厚少量散布液0.8ℓに含まれる有効成分Aの量は、
0.8ℓ÷8(倍)×0.08(8%)=800㎖÷8×0.08=8㎖(g)です。
Aフロアブルの場合、10aあたりに投下される有効成分量は8~16㎖(g)の範囲となっており、希薄少量散布でも濃厚少量散布でも10aあたりに投下される有効成分量はこの範囲内におさまるように希釈倍数等が設定されています。
つまり、希薄多量散布でも濃厚少量散布でも10aあたりに投下される有効成分量は農薬登録の範囲内で同じになることをご理解下さい。次回は、濃厚少量散布のメリットとデメリットを紹介します。
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