JAの活動:農協時論
【農協時論】日本の食に投資しよう! 仲間と力合わせ JA鹿児島きもつき前組合長 下小野田寛氏2025年4月23日
「農協時論」は新たな社会と日本農業を切り拓いていくため「いま何を考えなければならいのか」を、生産現場で働く方々や農協のトップの皆様に胸の内に滾る熱い想いを書いてもらっている。今回はJA鹿児島きもつき前組合長の下小野田寛氏に寄稿してもらった。
JA鹿児島きもつき前組合長 下小野田寛氏
現在トランプ関税が世界中に吹き荒れて自由貿易体制と世界秩序が大きな曲がり角を迎えている。この状況をどう受け止めてどう考えてどう行動していったらいいのだろうか? 世界を豊かにしてきた戦後の自由貿易体制がいま大きな行き詰まりに直面している。
自由貿易体制を支えてきたのは世界的な人口爆発であり、世界各地での資源開発であり、科学技術の発展であった。ここに来て戦後を支えてきた大きな要因に限界が見える。世界人口はいまも増えているが、もはや爆発的ではない。逆に近い将来、世界人口はピークを打つとも言われている。資源開発も制約要因が増えてきた。地球温暖化であり、地球環境問題である。
そして自由貿易体制の恩恵を受けた新興国が大きく経済成長する中で戦後形作られてきた世界秩序が変容を迫られ、世界が多極化を迎えている。それらの様々な状況・現実・行き詰まりがいま象徴的にアメリカ社会に出てきている。それらの結果として安全保障問題が大きくクローズアップされ、核となる科学技術を自国に確保することを含めて国と国民の安全保障を第一に優先して今回の関税発動に至ったと想像する。
こうなると私たち日本も自国の安全保障を優先せざるを得ない。今回のトランプ関税は私たちの発想と行動に大きな転換を迫っている。遠くの世界がこれからますます不透明な情勢で私たちがやらなければいけないことは、「近く」のヒト・モノ・コト・ネットワーク・インテリジェンスを大事にすることである。世界の様々な課題にこれからも科学技術の発展が大きく貢献していくことは間違いない。
その科学技術の発展を支えるのがたゆまない研究開発であり、成長する「人財」である。私たちはもっと「近く」に力を入れないといけない。国内の中で東京がとか地方がとか問題を対極的に捉えるのではなく、世界の距離に比べたら東京と地方は極めて近い。「近く」の東京と地方でいっしょになってこれからの「人財」を育てていこう。いま私たちに求められることは「近く」のヒト・モノ・コト・ネットワーク・インテリジェンスにどんどん投資することである。そのことで私たちの日本を守れると信じる。
協同組合もJAもどんどん「近く」に投資してほしい。そのことが必ず日本の未来を守ると信じてほしい。信じて投資し続けることにこれからの協同組合とJAの光と道がある。投資をし続けるためには少し先を見つめる必要がある。目の前だけ見ているとどうしてもいま必要な最低限の投資に限られてしまう。遠くを見つめてこそ投資を続けることができるし、真に将来の幸せのための投資ができる。
そのためにはもっともっと思い切って若い人と女性の出番を創ろう。転換期にある今、柔軟な発想を持つみんなの出番をもっともっと創(つく)ろう。今までいろいろなことをやってきたベテランの「人財」は、柔軟な発想で行動しようとしている「人財」を後ろから支えて彼らに自信を注入しよう。そしてみんなが自分の役割をそれぞれ果たしていくことで自分たちのチームを強くする。
今回のトランプ関税のように全く予想できないことが起こったとしてもあなたを守ってくれるのは「近く」のヒト・モノ・コト・ネットワーク・インテリジェンスであり、あなたのチームである。だからみんなで日本の食に投資しよう!
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