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【クローズアップ】原発事故に「想定外」は許されるのか 能登半島地震から学ぶこと2024年2月14日

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能登半島地震からまもなく2カ月になる。珠洲市や輪島市など半島北部を中心に多くの死者が出、家屋の全半壊も6万戸に及ぶ。各地で道路が寸断され、海岸の隆起で港も使えない。田畑もズタズタ。世界遺産である輪島市の千枚田も亀裂が入り、どうなるか分からない。私がこの地震の発生を知って最初に危惧したのは、半島中部にある北陸電力志賀原発がどうなっているか、だった。同原発は幸いにも運転停止状態だったので大事には至らなかったが、これまでに得た情報をもとに、「原発に『想定外』は許されるのか」を考えてみたい。

1.原発及びその周辺で発生したこと

・今回の震源域は東西150kmに及び、96kmという想定範囲を超えて活動した。原発周辺に多くの断層が走っており、隣接する断層が連動して動いたとみられる。数千年に一度という大規模の地震だったと指摘する専門家もいる。

・原発前の海面で、津波の影響により最大3mの水位上昇が確認された。地盤の隆起も確認され、敷地周辺では最大35cmの段差が生じた。志賀原発に近い輪島市などでは4mの隆起も見られた。

・地震の強さを示す加速度(基準地震動)は、原子炉建屋の基礎部分で1号機957ガル、2号機で871ガルと、設計上の想定を上回った。

・気象庁の観測によれば、同原発近くの志賀町香能で2826ガルを記録した。東日本大震災の際に宮城県栗原市で観測した2934ガルに匹敵するレベルだった。少し震源がずれれば、原発敷地内で香能と同じ規模の地震動が発生した可能性がある。

・今回の地震で同原発では1、2号機の変圧器配管が破損し、変圧器からの油漏れが約2万L。一部は海に流出した。同原発が発電していたら、かなりの確率で火災に至り、大惨事になったと考えられる。外部電源のうち2回線が使えなくなった。北陸電力によれば、回復までに半年以上かかるという。

・使用済み燃料プールは、地震の揺れで冷却水が建屋内にあふれ出て、1号機では一時冷却ができなくなった。原発の敷地内で複数の地割れや段差ができている。

・放射線量を測る周辺のモニタリングポストは、18カ所が測定不能となった。実測値が分からなければ、自治体は避難などの指示を出せない。

2.志賀原発で事故が起きたら、避難できるのか

・「志賀町原子力災害避難計画」によれば、原発で事故が起きた場合、原発から5km以内では即時避難、5kmから30kmは屋内退避が原則。避難手段は、自家用車、自衛隊車両、町などが所有する車両など。自家用車で避難できない人はバス等を利用する。避難ルートは国道、県道などの幹線道路とする、としていた。

・今回の地震では、避難ルートとされる「のと里山海道」をはじめ広範囲で土砂崩れ、亀裂、陥没、隆起などが起こり、道路は寸断され、港も被害を受け、長期間孤立した地域も発生し、避難ルートに定められた国道や県道11路線のうち過半数の7路線が、通行止めとなった。

・即時避難の地域では、通行止めにより避難はほぼ不可能。家屋倒壊などで屋内退避も困難。木造家屋が多く、放射能を防ぐ気密性はない。家屋が倒壊すればそのまま被曝してしまう。自治体からのヨウ素剤や生活必需品などの支援物資の配布も困難になる。

・今回の地震では水道管破裂や停電が相次いだ。そこに原子力災害が発生すると、単一の自治体が対処できるレベルをはるかに超えてしまう。原発事故が地震や津波によって引き起こされる複合災害になると、どの自治体も人員、物資ともに不足し、対応できなくなる。町が定めた避難計画は机上の空論、絵空事だったことが証明された。

・同町の稲岡健太郎町長は、就任後1週間で震災に遭遇した。記者会見で「海にも空にも逃げられない。これまで行ってきた避難訓練は現実的ではなかった。北陸電力は再稼働を目指すとのことだが、首長としては以前のように安全性をアピールすることは難しい」と語っている。

・原子力規制委員会は、1月17日の委員会で原子力災害対策指針を見直す方針を決めた。委員会では「屋内退避がそもそも成立するのか。孤立対策にどう対応するのか」という意見が出された。

3.能登半島地震から学ぶことと今後の対応

・今回の地震で自然現象は人知を超えることが証明され、北陸電力及び原子力規制委員会の想定を超えた(想定外の)地震が発生した。今回は、同原発は運転停止中だったので大事には至らなかった。しかし、志賀原発だけに限っても「想定外」の事象がいくつも生じており、もし再稼働していたら想像もできない大惨事になっていたと考えられる。原発周辺のすべての断層を正確に把握し、それに見合った耐震設計をすることはまず不可能である。

・今回の地震で、新潟県柏崎刈羽原発が危ないと言われている。能登半島と同じように、半島半ばに位置する愛媛県伊方原発や宮城県女川原発も、万一事故が起きたら、交通が遮断され、周辺の住民は逃げられなくなる。

・地震大国と言われる日本では、地震学の専門家も発言しているように、いつどこで、どの程度の地震が起きるのか、予測(想定)できないのだ。私が住んでいるこの近くには東海第二原発があるが、福井県にも多くの原発がある。被害の大きさを考えると、原発に「想定外」は許せるのか。福島の事故から13年になろうとしているのに未だに緊急避難宣言が解除されていない。そして2万人以上の人々が避難生活を送っている。

福島での事故を想起すれば、志賀原発の行く末は自ずと見えてくるのではなかろうか。

(客員編集委員 先﨑千尋)

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