【石破総理 新春インタビュー】政治の大転換期、新たな農業政策へ どう一歩踏み出すか(2)2025年1月1日
改正食料・農業・農村基本法が成立、施行された2024年は「農政の大転換の年」と強調されたが、総選挙後の国会は少数与党と野党との協議で政策決定されるなど「政治の大転換」も期待される年となった。2025年にどう臨むのか。石破茂内閣総理大臣に聞いた。(聞き手:谷口信和東大名誉教授)
江藤農相と不思議な縁
真摯に受け止めた選挙
石破茂内閣総理大臣
その後の解散総選挙では、政治と金の問題もこれあり、比較第1党は確保したものの、自民党、公明党で過半数を割るという事態となった。今までは与党で過半数を持っていたので、あれこれ議論はあっても、最後は多数決で決まった。それがこれからは通用しません、ということです。
そうすると国会での議論が言いっぱなし、聞きっぱなしにはならないだろう。最終的に決めなきゃなりませんが、国会における議論が言い放し、聞き放しとか、Aを聞いているのにBを答えるといったすれ違いの話ではなく、国会って一致点を見出すためにあるんでしょう、ということにならざるを得ないというのが今の政治状況だと思っています。
ですから、昨年、それぞれの担当で御努力をいただき補正予算を何とか成立させ、そして底流にある政治と金というものについても、100点満点ではないが、少なくとも大きな前進を見たというところまでは成し遂げて、今年を迎えているということです。
今年は夏に都議会議員選挙、参議院選挙を控えており、通常国会では令和7年度予算を成立させねばならないという至上命題がありますから、国会では農政に限らず、本当にいろいろな課題について、国民の前で一体何が論点で何が違っていて、どうやって一致点を与野党で見出していくか、ということが分かりやすく提示していく必要がある。
谷口 そういう点では大変な時期に総理という役職を担われたわけですが、しょうがないですね。
石破 しょうがないです。
首相のリーダーシップ
谷口 ただ、私は歴史というのは必然の延長線上で起きているもので、総理大臣になられたのもそれなりの歴史的な要請に応えてのことだと思います。そういう意味でリーダーシップを発揮していただきたいと思います。
さて農政についてですが、私は狭義の意味での農政は江藤拓農相が責任者として縦横無尽にやっていただくのが当然ですが、しかし、たとえば他省庁との交渉が必要で農相だけではなかなかまとまらないというときなど、農政に精通した首相としてリーダーシップをうまく発揮していただきたいと期待しています。
石破 個人的なことを言えば、私は江藤さんの御先代、江藤隆美さんには、どれだけ世話になったことか。最初に当選したのは昭和61年ですが、まだ29歳でした。鳥取全県区という今の2倍広い広大な選挙区で、選挙期間もすごく長かった。
江藤さんはそのころ建設大臣でした。普通、大臣が応援に来ると、大臣専用車に乗って随所で車を止めて演説するものですが、ずっと私の選挙カーに乗っていて米子市から鳥取市まで100キロぐらいの間、自分でマイクを持ち、道路や河川の工事現場に差し掛かると、止めろ、と言って車を降り、わしが建設大臣じゃ、と演説していました。迫力がありましたね。それで私は最下位でようやく当選するわけです。
その後、右も左も分からないで国会に行きました。党の農林部会に出てみたいと思うけれども、何だか怖そうな人がいっぱいいる。そうすると江藤さんが、石破君、俺と一緒に農林部会に出て勉強してみようよ、と言って声をかけてくれた。
あるいは、私が中山間地域の農業をどうしようかというときに、じゃ、わしが行って話を聞いてやろうと、鳥取県の若桜町という山奥の村ですが、そこに一晩泊まりで来て、集落座談会にずっと付き合っていただいた。とても恩のある方です。
私が麻生太郎内閣で農林水産大臣に就任したときに政務官を務めてくれたのが、今の江藤農林水産大臣ということで、不思議な親子2代の御縁があります。
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